研究課題/領域番号 |
15J04165
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡﨑 佑平 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 次世代マルチレベル・インバータ / 高圧同期電動機駆動 / コンデンサ小型化 / 複数台の電動機駆動 |
研究実績の概要 |
次世代マルチレベル・インバータを高効率化する制御法について検討した。同制御は,次世代マルチレベル・インバータの変調法を工夫することで従来の制御方式と比較して,インバータの損失を5/6倍に低減できる点に特長がある。制御法の妥当性はMathematicaを用いた数値解析と,PSCAD/EMTDCを用いた計算機シミュレーションにより理論の妥当性を確認した。 また,次世代マルチレベル・インバータの受動素子(コンデンサ)の体積を低減する同期電動機の制御法について検討した。同制御法は,同期電動機の無効電流分を活用して同期電動機電流振幅を最小化する方法である。この制御法を採用することで,次世代マルチレベル・インバータの受動素子を従来の同期電動機制御を適用した場合と比較して30%以上の低減が期待できる。また,同制御はパワーデバイスに流れる電流実効値の低減が可能であることから,次世代マルチレベル・インバータの高効率化に貢献することが明らかとなった。制御の妥当性はMathematicaを用いた数値解析と,PSCAD/EMTDCを用いたシミュレーションにより確認した。その後,400 V, 15 kWの実験室ミニモデルを用いて理論の妥当性を確認した。 上記の研究成果を応用して,次世代マルチレベル・インバータの理論を応用して,複数台の電動機を駆動するインバータの回路方式について検討した。検討したシステムは,複数台の電動機を駆動する応用に適した方式であり,従来の回路方式と比較して受動素子(コンデンサ)の容量を1/10倍に低減できる点に特長がある。上記回路方式の妥当性は,Mathematicaを用いた数値解析と6 kV, 5 MWの2台の電動機を駆動するシステムを想定した計算機シミュレーションにより妥当性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,3つのテーマについて取り組んだ。このうちの1つのテーマは,当該分野でTop Conferenceと称されるIEEE-ECCE-Canada 2015で20分の口頭発表を行った。発表後の5分間の質問時間は3人からの質問で時間いっぱい使用されるほどの高評価であった。学会後には質問内容を反映させたIEEE Transactions on Industry Applications 論文の執筆・投稿した。査読員からのコメントは好意的であり,コメントを反映した論文の再投稿後に採択が決定した。本年度に研究予定であった,電動機の発電制動については実験装置の都合上,当初の計画(実験,論文の執筆)通りに進まなかった。同テーマは,現在(2016年5月)理論解析,シミュレーション,実験まで完了しており,平成28年度内には当初の計画を十分に達成できる見込みである。このように,本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,前年度得られた研究成果をまとめる。具体的には,学会論文誌への投稿,日本,米国電気学会論文誌への投稿等に注力する。また,上記と並行して本研究の優位性を示すために,他研究との比較研究を行う予定である。
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