今年度は「近代韓国における儒教の展開」の中で孔子祭と漢文教育に関する研究を行い、その成果を論文として発表した。「孔子祭を通した経学院と斯文会の交流-孔子二千四百年追遠記念祭を中心に-」では近代韓国と日本を代表する儒教機関である経学院と斯文会の交流の中で孔子祭に着目し、近代における孔子祭の意味と両機関の交流を考察するとともに斯文会が主催した「孔子二千四百年追遠記念祭」と儒教復興の関わり、孔子二千四百年追遠記念祭」を通す東アジア的交流の状況を考察した。 「渋沢栄一の儒教活動-聖堂保存・孔子祭典を中心に-」では湯島聖堂における孔子祭の復活と関わった渋沢の活動をたどってみた。湯島聖堂における釈奠は昌平黌の廃止によって1967年8月以降しばらく行なわれなかったが、1907年「孔子祭典会」によって復活された。渋沢栄一の孔子祭の復活と儒教復興のため行なった活動を「孔子祭典会」創立以前から1923年の大震災後の対応まで検討するとともに、渋沢の儒教・孔子祭に対す意見およびその必要性を論じた文章に基づいて渋沢の儒教観を考察した。 「Classical Chinese Education in Korea during the Modern Era」では第1次朝鮮教育令から第4次朝鮮教育令期における朝鮮総督府の漢文教育政策の変遷と漢文教科の編纂方針、1930年以降の日本式漢文教育への転向を検討し、各時代における朝鮮総督府刊行の漢文教科書の形式的・内容的特徴と変化様相を考察した。
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