研究課題/領域番号 |
15J04580
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 貴陽 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
キーワード | 職業選択 / 起業家 / 経済成長 / 研究開発 |
研究実績の概要 |
起業家になるか労働者になるかという個人の職業選択を通じて,研究開発補助金がどのように経済成長,経済厚生に影響を与えるかについて分析した研究をまとめ,国際学会で報告し,学術雑誌への投稿を行った.本研究では,起業家の個人という側面に焦点を当て,職業選択の結果として出現すると考えている.これにより,研究開発補助金が,研究開発を促進するという直接的な効果だけでなく,職業選択を通じた間接的な効果も持つことを示した.本研究は投稿した雑誌に採択はされなかったものの,再投稿に向けて改訂を行っている. また,所得再分配機能を持つ年金が,個人の職業選択に与える影響を分析するため,年金改革に関する共同研究に参加した.本研究では,日本を含め多くのOECDの国が行っている年金改革が財政の維持可能性や経済成長へ与える影響を分析しており,高齢化が十分に進んだ経済では,賦課年金の確定給付型から確定拠出型への移行が,高齢化による負の影響を緩和することを示している.本研究は研究会で報告を行い, Discussion Paperとして発表している.現段階では,職業選択や起業家の存在は考慮していないが,次の研究として,それらを組み込み,年金改革による職業選択への影響を分析することを視野に入れている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今後必要になることが予想されるシミュレーション分析の手法の習得や,どのような個人がどのような職に就くのかという人材配置に関する先行研究の調査を行ったが,予想以上に時間が掛かってしまった.また,年金改革が経済成長や財政の維持可能性に与える影響に関する共同研究は当初予定していなかった.以上の理由により,より広い範囲の研究が出来ているが,計画が少し遅れてしまっている.
|
今後の研究の推進方策 |
資本や個人の能力等,以前の分析で捨象していた要素を組み込み,より現実的なフレームワークで職業選択が経済成長に与える影響を分析することを,当初は予定していた.しかし,個人の職業選択や起業家になる誘因により大きな影響を与え得るものが他にあると考え,予定を変更する.具体的には,所得再分配機能を持つ年金やその改革,研究開発の便益に影響を与える特許制度に関する分析である.これらが職業選択を通じて経済成長,経済厚生に与える影響を分析し,論文執筆,発表を行っていく予定である.
|