研究課題
光エネルギーを化学エネルギーに変換する人工光合成システムの構築は、持続可能な社会を実現する上で重要な戦略である。本研究は、人工光合成を構築する反応の一つである二酸化炭素の還元についての触媒開発に取り組んだ。異なる役割を担った金属錯体の反応サイトを近傍に配置したヘテロ二核金属錯体を設計し、その合成、キャラクタリゼーション及び反応活性の評価を行なった。初年度に合成したジピリジンピラゾール配位子を骨格とするヘテロ二核金属錯体の二酸化炭素還元に対する活性を改善するために、配位子を酸化還元されにくいものに変更したヘテロ二核錯体を検討している。一方、二酸化炭素の光触媒的還元反応では、硫黄を配位原子として含むキレート配位子を有するニッケル錯体を触媒に用いたところ、選択的に光触媒的に二酸化炭素を還元することに成功した。合成したニッケル錯体を触媒とし、還元剤及び光増感剤注存在下、波長が450 nmの可視光を照射した際の触媒的二酸化炭素還元反応に対する触媒活性の評価を行なった。その結果、二酸化炭素より還元され易いプロトンの還元による水素発生をほとんど伴わず、99%以上の選択性で二酸化炭素を還元し、化学原料として有用なCOが生成することを見出した。その触媒回転数は、50時間で700回を超え、450 nmにおける量子収率は1.42%と決定した。すなわち、開発したニッケル錯体は、これまでに報告されたニッケル錯体よりもはるかに高い光触媒的二酸化炭素還元活性を示すことがわかった。また、ニッケル錯体は、世界で初めてのCODH活性中心の機能モデルと位置づけられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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