研究課題/領域番号 |
15J04738
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中嶋 一裕 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 相同組換え / ユビキチン化 |
研究実績の概要 |
脱ユビキチン化酵素OTUB2は、DNA2本鎖切断部位において相同組換えによる修復が選択されやすくなるよう制御を行う。しかし、OTUB2が相同組換えの下流で必要とされているかはこれまでに分かっていないため、検討を行った。
まず、U2OS細胞をカンプトテシン処理することで相同組換えによる修復が必要とされる複製依存的なDNA2本鎖切断を発生させ、相同組換えに関わる蛋白質の集積を免疫染色法で確認した。その結果、OTUB2の過剰発現はRPA2のDNA2本鎖切断部位へのリクルートに影響を与えないがRPA2 S4/S8リン酸化については抑制することが分かり、RPA2のリン酸化制御にユビキチン化が関わることが示唆された。さらにRPA2と結合することが報告されているE3ユビキチンリガーゼであるRNF4をノックダウンした細胞でも、RPA2のDNA2本鎖切断部位へのリクルートに変化はないがRPA2 S4/S8リン酸化が抑制されることを確認した。RNF4ノックダウン細胞ではRAD51がコントロール細胞に比べて素早くDNA2本鎖切断部位へ集積するが損傷修復期になっても留まり続けることも確認され、相同組換えが途中で停止していると考えられた。
これらの結果は、ユビキチン化による制御が相同組換えのRAD51リクルート以降の過程において重要であることを示唆しており、未だ不明な点の多い相同組換え後期を制御する分子メカニズム解明の足掛かりとなりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNA損傷修復経路の選択機構解明という研究内容から外れてきているが、OTUB2が修復経路選択以降の過程においても相同組換えを制御していることを示唆する結果を得ることができた。RNF4のノックダウン実験からも、ユビキチン化による制御が相同組換えのRAD51リクルート以降の過程で重要であることを示す結果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はRPA2 S4/S8がリン酸化されない変異体を発現する細胞を作製し、RPA2リン酸化の相同組換えにおける重要性を確認する。さらに、ユビキチン化がRPA2リン酸化を制御する分子機構を明らかにするためにRNF4やOTUB2の基質蛋白質を明らかしていく。まずはRPA複合体やRAD51のユビキチン化をOTUB2過剰発現細胞やRNF4ノックダウン細胞で確認する。RPAやRAD51のユビキチン化修飾の変化を確認できなかった場合は、RPA複合体に結合している蛋白質に着目し、ユビキチン化修飾の確認を行っていく。
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