生物が硬組織を作り出す作用は「バイオミネラリゼーション」と呼ばれている。しかしながら、生物におけるバイオミネラリゼーションに関する、生体内における詳細なプロセスは不明な点が多い。そのため、生体を非侵襲的に生体イメージングすることで、そのプロセス解明を行うことが必須となっている。本研究課題では特に、共焦点顕微鏡を使用することで、細胞レベルの詳細なイメージングを行うことを目的としている。 昨年度は、沖縄県産の大型有孔虫をモデルとし、以下の研究を実施した。1.細胞透過型のCalcein(Calcein AM)を使用するこで、生きた有孔虫の細胞質形態や、網状仮足を鮮明にイメージングを実施した。2.細胞膜不透過型のpH蛍光指示薬を比較的高濃度で使用し、細胞内液胞のpH変化を継時的に観察するこが可能となった。結晶形成の場と考えられる、アルカリ性の液胞のみならず、細胞内には多数の酸性領域が存在する様子を可視化した。 また、骨格形成を始めたばかりのサンゴ初期ポリプのバイオミネラリゼーションについても研究を進めた。3.サンゴ体内で結晶の成長過程を蛍光イメージングできた他、4.pH蛍光指示薬を飼育海水中に溶解させることで、骨格形成の場(石灰化母液)のpH変動についても、経時的に測定することに成功した。このように、有孔虫のみならず、他の生物種においても、バイオミネラリゼーションの解明に蛍光イメージング技術が適用できることが分かった。
|