この研究は、次世代エネルギー源の水素を太陽光による水の完全分解に用いられる光触媒として注目を浴びているペロブスカイト構造の金属酸化物であるSrTiO3(チタン酸ストロンチウム)に固相合成法・溶媒熱合成法・融液合成法(または熔融塩合成法)で金属ドーパント(Ga3+、Ta5+)をドープし、それらのパラメーターが反応効率に及ぼす影響を究明して、より高効率の光触媒探索するための指針提出が目的である。 最終年度である平成28年度は、前年度で作製した金属ドーパントをドープしたSrTiO3光触媒の物性分析結果に加えて、反応速度および化学反応メカニズムを究明するためにメチルオレンジ色素分解と励起キャリアの量を確認する実験を行った。この実験で、合成方法・金属ドーパントによって作製したSrTiO3光触媒の励起キャリアの量とメチルオレンジ色素の分解反応速度に差があることを確認した。 また、前年度に引き続き、Yeungnam University(韓国)との協力により、BET・FE-SEM測定を行って、XRD・ラマン分光・ATR式のFTIRの結果と合わせて分析して各合成方法によるSrTiO3光触媒の結晶成長メカニズムを確認した。 さらに、上記で得られた励起キャリア量と反応速度ど差と結晶成長メカニズムで、金属ドーパントをドープしたSrTiO3光触媒の作製パラメーターが反応効率に及ぼす影響を究明することができた。 この研究で究明した知識は、光触媒に対しての知見を広げ、より高効率の光触媒の探索に活用できると考える。また、得られた知見は国際学術誌(Journal of Physical Chemistryなど)にオープンアクセスオプションを附帯して上梓する予定である。
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