研究課題/領域番号 |
15J04864
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 敦史 東北大学, 加齢医学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | GATA1 / DS-AMKL / 白血病幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、ダウン症随伴急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)における白血病幹細胞の同定と性質解明を目的とした。第一に、DS-AMKL細胞(超免疫不全マウスへの継続的な移植を経てAMKLへと進展した、TMD患者由来の細胞ライン)を、超免疫不全マウス(NOGマウス)に異種移植することにより、白血病細胞を安定的に増幅・供給できる実験系の樹立に成功した。同マウスの血液学的所見より、巨核球特異的CD41a表面形質を発現するAMKL様病態が形成されることを確認し、また最適な解析タイミングを見出すことができた。同マウスを用い、白血病幹細胞濃縮分画を単離するための指標として、造血幹細胞や従来から多くの報告があった白血病幹細胞に特異的な表面形質であるCD34の有無に基づき、白血病細胞の分画化と移植実験を行った。その結果、CD34陰性分画移植群において白血病発症を認めた。さらにCD34陰性分画において、ヘキスト低染色性細胞集団(SP-fraction)および高染色性細胞集団(MP-fraction)をそれぞれ検出し、移植実験を行った。その結果、MP-fraction移植群において白血病発症を認めた。 以上の解析より、本DS-AMKLにおける白血病幹細胞はCD34陰性、およびヘキスト高染色性分画に存在することが示唆される。多くの骨髄性白血病において、CD34陽性分画に白血病幹細胞が濃縮されるという報告が多い中、本AMKLは非常に珍しい型の白血病であると言える。 今後、CD34以外の表面形質の発現プロファイル、および細胞周期の進行度に基づくさらなる指標を組み合わせ、白血病幹細胞濃縮分画を絞り込んで行くことで、白血病幹細胞を単離する上での新たな指標を提唱できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DS-AMKL細胞を、NOGマウスに異種移植することにより、白血病細胞を安定的に増幅・供給できる実験系の樹立に成功した。同マウスの血液学的所見より、巨核球特異的CD41a表面形質を発現するAMKL様病態が形成されることを確認し、また最適な解析タイミングを見出すことができた。同マウスを用い、白血病幹細胞濃縮分画を単離するための指標として、造血幹細胞や従来から多くの報告があった白血病幹細胞に特異的な表面形質であるCD34の有無、およびヘキスト染色性の差異に基づいて、白血病細胞の分画化と移植実験を行った。その結果、本DS-AMKLにおける白血病幹細胞は、CD34陰性およびヘキスト高染色性分画に存在することが示唆される結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定できたCD34陰性分画は白血病細胞全体の中で非常に大きな割合を占めているため、この中から更に別の指標を用いて真の白血病幹細胞濃縮分画を単離していく必要がある。今後は、幹細胞の機能的特性に着目し、増殖休止状態にある細胞集団、および抗癌剤耐性を持つ細胞集団を対象とした絞込みを行う。前者ではPyronin-Yおよびヘキストで処理した白血病細胞、後者では5-FU投与マウスから得た白血病細胞から、セルソーターにより対象分画を回収し、移植を行う。上記により特定の細胞分画への白血病幹細胞の濃縮が認められれば、同分画におけるDNAメチル化修飾状況を網羅的に解析することで、エピゲノム制御の観点から非幹細胞集団との質的差異を見出す。また、白血病幹細胞と健常造血幹細胞との間の質的差異を解析するため、健常造血幹細胞の異種移植マウスを樹立し、同細胞を実験に供給できるようにする。
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