研究課題
糖尿病は脳卒中や認知症の危険因子であり、境界型を含めると40歳以上の国民の1/3が罹患者である。限られた医療資源を節約するために、血液検査なしで将来の糖尿病発症を予測する試みが行われてきたが、それらの有用性については明らかでない。そこで、血液検査を含まない問診情報が将来の糖尿病をどの程度予測できるかについて、メタ解析手法による総括を行った。EMBASEとMEDLINEを用いて、複数の問診項目を用いて2型糖尿病発症予測を行った研究について階層サマリーROCモデルを用いて包括的分析を行った。検索に該当した文献のうち、採用文献は18件であった。血液検査を含まない問診情報は、糖尿病発症を感度0.68、特異度0.69、陽性尤度比2.19、陰性尤度比0.47、診断オッズ4.70(いずれもP<0.001)で予測した。本メタ解析により、問診により得られる情報は、糖尿病の診断に用いられる空腹時血糖値やHbA1cを単独で使用した場合に匹敵する予測能を有することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本年度は英語の原著論文1本を完成させ、間もなく公表される予定である。また、国内外の学会で計4演題が採択されたことや、該当内容を執筆中であることから、来年度以降も成果が排出できることが予想される。
本研究にて、生活習慣による糖尿病の治療・予防の効果をさらに詳しく検討する必要性が示された。中でも多くの糖尿病患者にとっては身体活動の充足が治療に多くの利点をもたらすにも関わらず、大半の患者の身体活動量は不足している。そこで身体活動充足に関係する住居環境を横断的に調査し、運動療法を達成しやすい者の周辺環境について検討し、現在論文化を進めている。同時に臨床背景ごとの生活習慣の特徴を調査し、指導の個別化に有用な生活習慣因子の探索を行う。
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