研究課題/領域番号 |
15J05080
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安藤 達也 岐阜大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 肝再生 / インフラマソーム / NLRP3 / IL-6 |
研究実績の概要 |
部分肝切除モデルを利用した肝再生機構の解明により、肝再生時に炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-α産生亢進が確認されている。しかし、これら炎症性サイトカインの誘導機構が不明なままであった。そこで炎症反応を惹起するインフラマソームに着目し、肝再生時に産生される炎症性サイトカインの誘導にインフラマソームが関与しているかを解析した。 WTおよびインフラマソーム欠損 (ASCKO、iPafKO、NLRP3KO)マウスに部分肝切除を行い、肝体重比の測定、細胞増殖マーカーであるサイクリンD1、サイクリンE1発現及びKi-67染色を行い肝再生能の評価を行った。その結果、NLRP3KOマウスで肝再生の遅延が認められた。一方で、ASCKO、iPafKOマウスでは肝再生の遅延を認めなかった。部分肝切除後の肝臓を用いたRT-PCR解析により、NLRP3KOマウスにおいてIL-6、IL-1β mRNA発現や肝成長因子であるEFGやTGF-α発現の低下が確認された。また、部分肝切除によるインフラマソームの活性化を証明するために、肝切除後の肝臓を用いたウエスタンブロットを行いcaspase-1を検出したところ、WTマウスにおいてインフラマソームの活性化が確認された。一方でNLRP3KOマウスではインフラマソームの活性化が確認できなかった。 以上のことから、肝再生の際に必要となる炎症性サイトカインはインフラマソームの活性化により誘導されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、WTマウスとインフラマソーム欠損マウスにおける肝再生能の違いに重点を置き研究を行う予定であった。その結果、インフラマソーム(NLRP3)欠損マウスにおいて肝体重比の低下や肝再生時の炎症性サイトカインや肝成長因子発現の減弱、細胞増殖能の低下など肝再生能の低下を確認した。また、部分肝切除によってインフラマソームが活性化することを確認しており、肝再生においてインフラマソームが活性化することで、炎症性サイトカイン産生を促進し肝再生を制御している可能性が考えられた。以上のこから、初年度は予定通りに研究が進捗したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、肝再生時において何がインフラマソームを活性化するのかを証明する(リガンドの検出)。また、肝再生は部分肝切除のみならず、肝障害後でも生じることから、CCl4を用いた肝障害モデルにおいて肝臓の再生にインフラマソームが関与しているか検討する。
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