研究課題/領域番号 |
15J05438
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近田 彰治 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 肩 / 肩甲骨 |
研究実績の概要 |
本研究では高い空間分解能によって各個人の形態学的特徴を反映した骨関節モデルを作成可能なMRI画像解析システムと,高い時間分解能を有する磁気センサによる3次元的な骨格の運動計測(骨格運動計測システム)を融合させることで,スポーツ・パフォーマンスにおける各個人の3次元的な骨関節動態を詳細に分析することが可能なモーションキャプチャシステムを確立することを目的とした. 平成27年度は,MRI画像解析システムと骨格運動計測システムの同時計測による肩甲骨の位置・方位計測誤差の特定と,MRI画像解析システムを用いた各個人の形態学的特徴を有する骨関節モデルの構築を行うことを目的とした.健常成人男性20名を対象として,大径ガントリーを有するMR装置内で上肢を6つの外転角度で保持した際の,3次元的な肩甲骨の姿勢と肩峰の皮膚上に貼付された骨格計測システムのセンサを模したマーカの位置計測を行った.その結果,皮膚上に貼付されたマーカは外転角度の増加に伴う系統誤差を有する傾向が観察された.また,データの汎用性を向上させる為に,上肢を5つの屈曲角度で保持した条件についても計測を追加している.合計220肢位(対象者20名×11肢位)のデータを用いて統計的に肩甲骨に対する皮膚上のセンサ(マーカ)の動きをモデリングすることで,系統誤差の補正を行う手法を開発中である. また,各個人の形態学的特徴を有する骨関節モデルの構築を行うためのMRI撮像条件の検討と,得られたMRI画像から関心領域を抽出する方法の検討を行い,半自動的に高精度で骨モデルの作成を行う工程を確立した.MRI画像はCT画像に比べ,撮影時のアーチファクトや骨と軟組織の境界が不鮮明になるなどの欠点があるが,被爆を伴わず非侵襲的に撮像ができるといった利点があるため,さらなる精度の向上や自動化に向けて専門家らの助言を受けて改善を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より予定していたMRI画像解析システムと骨格運動計測システムの同時計測による肩甲骨の位置・方位計測誤差の特定と,MRI画像解析システムを用いた各個人の形態学的特徴を有する骨関節モデルの構築方法の確立をほぼ完了することができた.また,当初は次年度に予定した,MRI画像解析で取得される骨関節モデルと骨格運動計測システムで取得される運動データの融合(レジストレーション)についても,レジストレーションの手法を習得してプログラミングを行い,予備実験に取り掛かることが出来ている.
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今後の研究の推進方策 |
MRI画像解析で取得される骨関節モデルと骨格運動計測システムで取得される運動データの融合(レジストレーション)方法を確立し,各個人の形態学的特徴を反映した骨関節モデル,骨格運動計測システムで取得される運動データ,肩甲骨に対する皮膚上のセンサ(マーカ)の動きの統計的モデリングを統合することで,各個人の骨・関節動態を高精度で推定する手法を確立する.推定精度についてはMRI画像解析又は透視連続X線画像を用いた2D/3Dレジストレーション法によって精度検証を行う予定である.
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