CFRPの欠陥検出については,誘導加熱場を利用したはく離欠陥の検出性能を早期に明らかにできたことから,成形時に発生する不良である繊維うねりの検出を試みた.CFRPはその電気的異方性の強さから,交番磁界により渦電流を発生させた際に渦電流は繊維に沿って流れる.そのため,渦電流の経路を可視化することができれば,繊維うねりを可視化することが可能となる.本研究では,磁界分布から渦電流の経路を可視化するための磁気イメージングアルゴリズムを新たに提案し,その有効性の検証を行った.CFRP直交積層板,疑似等方積層板に対して行った試験では,ともに面内繊維うねりの形状を可視化することに成功した.しかし,繊維うねりの位置が探傷面から離れるほど可視化される繊維うねりの振幅は小さくなってしまうことが明らかになった.そのため,有限要素法解析により,可視化される繊維うねり寸法とうねりの深さの関係を取得し,繊維うねり振幅の上限と下限を求める方法を新たに提案し,うねり寸法評価を可能とした. GFRP検査では,GFRPの誘電率分布を渦電流試験によって測定して検査を行った.GFRPの誘電率を変化させる事例として吸水があるため,まずはこれを対象として試験を行った.その結果,GFRPの重量増加,すなわち吸水に伴い,渦電流プローブの出力電圧が変化することを明らかにすることができた.また,誘電率が異なる種々の樹脂材料に対しても実験を行い,誘電率変化に対して渦電流プローブの検出信号が線形に変化することを明らかにすることができた.
|