2年目は、1)1年目の研究に引き続きCK2によってリン酸化されるタンパク質の探索、2)質量分析による時計タンパク質PER2、CRY1、BMAL1、CLOCKのリン酸化部位の特定、3)ヒト臍帯静脈内皮細胞HUVECの時計遺伝子レポーターによる生物発光リズムの計測、4)ヒト骨肉腫細胞U2OSとHUVECの概日的な変化や異なる時刻での同調刺激に対する応答の比較実験、5)HUVECのリン酸化リズムの検証、を行った。
1)リン酸化される時計タンパク質の探索では、ヒト胎児腎臓細胞HEK293Tに時計遺伝子Per2、Cry1、Bmal1、ClockとCK2α遺伝子をトランスフェクションによって導入し、CK2によってリン酸化される時計タンパク質をウェスタンブロットにより調べた。2)時計タンパク質のリン酸化部位の特定のために、HEK293T細胞の培養を大きなスケールで行い、Per2、Cry1、Bmal1、ClockとCK2αをトランスフェクションにより導入した。研究室で発見されたCK2阻害剤を投与した細胞および対照としてDMSOを投与した細胞から時計タンパク質を免疫沈降し、当研究所の分子構造センターの桑田特任助教の協力を得て質量分析した。3)時計遺伝子レポーターを用いたHUVECの若い細胞と老化した細胞の生物発光リズム計測の結果、老化に伴う振幅の縮小や周期の変化などのリズム異常を見出した。4)U2OSとHUVECについて、それぞれのリン酸化の経時変化や異なる時刻での同調刺激に対する応答は、予想以上に異なっていた。5)HUVECについて、概日変化を知るために概日サンプリングを行い、解析を試みている。
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