研究課題/領域番号 |
15J05580
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木戸 肩吾 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ハイブリッドシステム / 物理情報システム / モデルベース開発 / 形式検証 |
研究実績の概要 |
採用当初から昨年度研究報告を行った際までは,超準解析を用いることで離散的プログラムに対する形式検証手法を拡張してハイブリッドシステムの検証を行うことを目的とし,研究を進めてきた.究極的に目的としているハイブリッドシステムの安全性保証に関しては変更はないが,昨年度途中からは物理情報システムのものづくりの現場に目を向け,産業界でハイブリッド検証手法を活用することを目的とした研究を開始した.自動車などのモデルベース開発において形式手法を活用することを目的として,超準解析の利用にはこだわらず,異なる手法を用いた研究を進めている. 実際の物理情報システムのものづくりの現場でのモデルベース開発における活用を視野に入れたハイブリッドシステム検証手法に関わる研究を開始するにあたり,ソフトウェア工学やシステム工学の知見が必要となった.そのため,昨年度の報告書でも予定として述べた通り,本年度よりカナダ・University of Waterlooのソフトウェア工学の専門家であるKrzysztof Czarnecki教授との共同研究を開始した.私が専門として研究してきた形式検証とは異なる分野の研究者との共同研究になるため,本年度前半は共同研究発足に向け,ソフトウェア工学に関するサーベイや,制御論からのハイブリッドシステムに対してのアプローチを学ぶことに主に時間を費やした.本年度後半に共同研究が実際に動き始め,10月から3月までUniversity of Waterlooの研究訪問を行った.この滞在の中でCzarnecki教授との議論を通じ,モデルベース開発において形式手法を活用して安全で効率な物理情報システム開発を行うことを目的とし,fidelity aware modelingという新しいコンセプトを提案することに向けた研究を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように,現在は超準解析を用いることにこだわらず,よりものづくりの現場で活用できる形でハイブリッドシステム検証を研究している.本年度異なる専門の研究者との共同研究を開始しており,共同研究の準備に時間がかかってしまったため,本年度中には論文等の形で成果を発表するには至らなかった.現在のところfidelity aware modelingのコンセプトに向け,具体的な研究課題を3つほど考えておりそのうちの一つに関しては理論的大枠が完成しつつある.研究訪問先であるUniversity of Waterlooで実際に自動運転で用いるモデル等に触れた経験から考案した小さな例を用い,提案手法を試しながら手法の改良を進めているところであり,最終年度である来年度にむけ着実に研究はすすんでいる.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べたように,fidelity aware modelingのコンセプトに向けて現在のところ具体的な研究課題が3つほど挙がっている.現在そのうちの1つ目に取り組んでおり,来年度はその成果を論文としてまとめ発表するとともに,次の課題に取り組む.
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