研究課題/領域番号 |
15J05615
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
増山 浩人 上智大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | カント / バウムガルテン / ヒューム / 世界論 / 自然神学 / 形而上学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カントの目的論が当時の自然神学と二世界論を批判するという動機に基づいて形成された理論であることを明らかにすることである。本年度の具体的な成果は以下の二つである。
1) 博士論文の加筆修正に着手し、2015年11月に『カントの世界論 ―バウムガルテンとヒュームに対する応答―』(北海道大学出版会)を出版した。同書では、これまで断片的な形でしか扱われてこなかったバウムガルテンの存在論・世界論を体系的に紹介するとともに、カントがバウムガルテンの二世界論をどのようなプロセスで転換していったのかを明らかにした。
2) 2015年9月からはフンボルト大学ベルリンにおいて在外研究を行った。まず、現地での受入研究者であるTobias Rosefeldt教授のゼミナールとコロキウムの出席を通じて、カントの現象と物自体の「二世界解釈」と「二観点解釈」に関する最新の知見を得ることができた。さらに、バウムガルテンの自然神学にカントがどのように対決しているのかを集中的に考察し、その成果を英語論文"God as an ultimate ground of the possibility of things ―Kant's Answer to Baumgarten's natural theology―"にまとめた。2016年3月に行ったRosefeldt教授とのディスカッションの成果を踏まえ、現在、同論文の加筆修正を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下の二つの理由による。1)著書の出版と英語論文の執筆を通して、カントが当時の二世界論と自然神学にどのように対決していたのかを示すための土台を提示できたため、2)バウムガルテンの『形而上学』の集中的な分析を通じて、当初の予想より多くの点でバウムガルテンとカントとの間に接点を発見することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ローゼフェルト教授とのさらなる議論やコロキウムでの発表を通じて執筆中の英語論文を完成させ、国際雑誌に投稿することを目指す。さらに、研究のメインテーマであるカントの目的論そのものの考察にも取り組む予定である。具体的には、前批判期の『神の現存在の論証のための唯一可能な証明根拠』と批判期の『純粋理性批判』の目的論に関して日本語で論文を執筆し、国内雑誌に投稿する。
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