研究課題/領域番号 |
15J05687
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥村 成皓 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 適応型信号処理 / 医用超音波イメージング / 弾性波 |
研究実績の概要 |
本年度はまず、頭蓋内の超音波頭蓋内伝搬の補償方法について研究を行うため、2016年6月~8月にフランスの共同研究先を訪問し、特に皮質骨を伝搬する超音波について研究を行った。 皮質骨は分散性の媒質であり、局所的に板や円柱としてみなすことができ、ガイド波が伝搬することが知られている。ガイド波の位相速度は縦波、横波、厚みから決定されるため、位相速度を推定することができれば厚みを推定することができるため、新たな骨質評価方法として近年注目を集めている。骨内を伝搬する超音波を特定する方法として、様々な方法が提案されているが、多数の受信素子から構成されるプローブを使用するため、診断のコストがかかる。また、多数素子を使用することで信号処理も複雑になるため、計算時間の削減も課題である。そこで、私は共同研究で得た知見を生かし、従来では17素子以上必要であった方法を、2素子に削減する方法を提案した。この成果は、国内外の学会で発表を行った。 続いて実験による検討を行った。実験では、従来より銅板を用いた実験が幅広く行われているため、本研究でも実施し、英文論文誌に投稿を行った。次に、コスト削減とともに重要な高分解能化を検討し、多数素子を用いた場合に、正確に骨内を伝搬する超音波を特定する方法を提案し、英文論文誌に投稿し、受理された。 これらに加えて、専任義務内での研究協力として、自身の所属する研究室で取り組んでいる、”UWB レーダを用いた遠隔生体情報センシング”、 ”UWB レーダを用いた高精度イメージング”についても昨年度に引き続き取り組んだ。これらの結果は、国際論文誌に採択され、うち一件はFeatured Articleに選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、頭蓋骨中の血流速度の推定が目標である。そのため、骨内の超音波伝播の振る舞いを特定することが大きな課題である。本年度は上記実績に記載の通り、皮質骨中の伝搬に焦点を当て研究を行った。未だ基礎実験の段階であるが、論文誌にて有効性が認めらた。加えて共同研究も盛んに行い、結果について発表した国内外の学会では2件の表彰を受け、投稿したLetterはFeatured Articleに選出された。これらのことから、研究計画第2年度の進捗として、概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度まで概ね順調に進捗しているため、基本的には、今年度までの研究を継続して行う。 具体的には、本年度実施した基礎実験にて検証した方法を、生体模擬ファントムを用いた実験、また実際の生体試料を用いた実験に適用してより現実的な環境下で適用可能かどうか評価を行う。加えて共同研究を更に加速さえ、実社会に貢献できる技術の研究と開発を目指す。
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