環境資源の適切な管理は紛争予防・再発の防止と平和構築のために極めて重要である。環境資源は紛争を再発させる要因ともなれば、平和構築を促進する媒体ともなっているからである。本研究は、紛争後の地域において、環境資源が効果的に管理されるための政策を提言することを目的とし研究を進めている。紛争の根源的原因ともなってきた環境資源は、紛争後の復興の成否に影響を与え、平和構築を目指すために重要であるからである。実際に、紛争後社会が抱える平和構築の課題において、環境資源が重要であるという認識は、国際社会でも徐々に高まってきている。しかし、これまでの研究では、「紛争後地域でどのような環境政策が有効であるのか」、という問いに対する、実証に裏付けられた環境政策モデルが無い。本研究では、紛争後の地域や国において「いかなる政策のもとで環境資源が有効に管理されるか」という「メカニズム」について、資料収取し文献調査を行い検証してきた。さらに、フィールド調査を実施し、実証と比較分析に基づく研究を進め、異なる発達段階に応じた資源管理の在り方について、検証を進めることができた。特に、紛争後の地域においては、政府による統治機能は限定的である状況が多いため、住民組織の役割はより重要となることが考えらえる。このため、異なる社会における住民組織主体による資源管理のガバナンス及び政策の影響について分析したことにより、紛争後から開発への過渡期における環境管理の政策について、重要な分析結果を得ることができた。
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