研究課題
多能性幹細胞、発生過程および疾患におけるエピゲノム制御に興味を持ち、研究を行っている。博士論文研究では、汎用的に用いられている幹細胞培養法がマウスES細胞のエピゲノム状態、特に発生に重要なゲノムインプリントに影響を与え、インプリントを失ったES細胞は個体発生能が低下することを明らかにした。さらには、それら問題を解決するための新規培養法を見出し、より高品質なES細胞を効率良く樹立することに成功した。この成果(申請者の学位論文)は2017年7月にNature誌に掲載された。同成果はNature誌「News & Views」トピックでも取り上げられた。インプリントが多能性幹細胞の品質に重要であることから、iPS細胞誘導過程におけるインプリント領域の安定性も解析している。初期化過程で安定的な領域とメチル化の変動が起こりやすい不安的な領域が存在することを発見しており、さらには安定的なインプリントを有するiPS細胞の樹立方法を同定した。また、マウスとヒトの多能性幹細胞においてインプリント異常が生じやすい領域は比較的共通しており、それら領域は様々ながんにおいても異常なメチル化状態として観察されることがわかった。以上のことから、本研究成果は多能性幹細胞の品質評価につながることが期待され、より高品質なiPS細胞の樹立にも発展するのではないかと考えられる。現在本研究成果は論文投稿中(筆頭著者としての論文)である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Laboratory Investigation
巻: 97 ページ: 1133~1141
doi: 10.1038/labinvest.2017.87
Nature
巻: 548(7666) ページ: 224-227
10.1038/nature23286