研究課題/領域番号 |
15J05846
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平出 翔太郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | metal-organic framework / gate adsorption / free energy analysis / structure determination |
研究実績の概要 |
1. ゲート吸着挙動の機構解明 同位体分子認識の以前に,ゲート吸着挙動自体が従来材料には見られない特異な現象であり,その発現機構には未だ不明な点が多いのが現状である。そこで,前段階として,SPCの一種であるELM-11のCO2ゲート吸着挙動を対象とし,実験および理論計算による複合的な解析を行うことで,ゲート吸着挙動の発現機構解明を試みた。その結果,実測のゲート吸着挙動を定量的に説明可能な熱力学モデルを構築することに成功した。この熱力学モデルからは,ゲート吸着を記述する因子として,構造変形に伴うSPCの内部エネルギー変化とエントロピー変化,およびガス分子の吸着による安定化の寄与が重要であることが示唆される。本研究内容について,5件の学会発表(内2件は国際学会)を行い,国際誌に論文を2件投稿した。また,この熱力学モデルは,さらに特異な2段階に生じるゲート吸着挙動についても適用可能であることを見出しており,現在論文を執筆中である。 2. 同位体認識機構の解明 同位体認識機構の解明に向けて,水同位体(H2O, D2O)に対し異なる吸着挙動を示すことが報告されているCID-5の合成,およびH2O,D2O吸着等温線測定を行った。福島ら[日本化学会第93春季大会(2013)]による報告と同様に,CID-5は同位体分子(H2O,D2O)に対して異なる圧力でゲート吸着挙動を発現することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画通りには進んでいない点もあるが,ゲート吸着現象の熱力学的な背景を明らかにするなど,同位体認識機構を解明する上での重要な知見が得られたことから,総合的な進捗状況としては概ね順調に進展していると考えられる。また,上述の通り,CID-5の合成および基礎実験データの収集は完了しており,解析に着手している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,in situ XRD測定によってCID-5のH2O,D2O吸着時における構造を解析し,得られた構造モデルを用いた計算科学的な検討から同位体認識能の発現機構解明を推進していく予定である。また,水に対して極めて高い安定性をもつSPCであるELM-31bについても,同位体認識能を発現する可能性があることから同時に検討を進めている。
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