研究課題/領域番号 |
15J05938
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
阪上 弘彬 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | ESD(持続可能な開発のための教育) / 地理教育 / ドイツ連邦共和国 / レールプラン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドイツを中心とした欧米諸国と日本の地理教育改革の歴史、カリキュラム変化、改革後の授業の変化に関する分析によって、各国の地理教育における持続可能な開発のための教育(ESD)の位置付けと地理教育改革におけるESDの役割を考察し、日本の地理教育におけるESDの教授理論を構築することである。2015年度は、ドイツを中心に、地理カリキュラムやESDに関する資料・文献、地理教科書(教授書を含む)の収集およびそれらの分析・検討、現地の学校(ギムナジウム)における授業見学、教員等への聞き取り調査・意見交換を実施した。 ドイツの州レベルの地理レールプラン(カリキュラム)は、ドイツ地理学会の『ドイツ地理教育スタンダード』の刊行を契機に変化しており、同スタンダードでは、ESDに対する貢献点だけでなく、ESDに関する地理的コンピテンシーや問題解決に向けた空間概念が示されていたことがわかった。また、ドイツの中でもニーダーザクセン州、ラインラント=プファルツ州、バーデン=ヴュルテンベルク州を中心に研究を進めた。これらの3州では、2015年前後からカリキュラム改訂が進むとともに、カリキュラム中にESDに対する地理教育の貢献点が明確に示されていた。地理教科書に関しては、前期中等教育の7-10学年にかけての学習内容において、ESDに関する学習のうち持続可能な開発の3つの視点(環境、経済、社会)を意識した学習内容が設定されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた資料や文献(カリキュラム、地理教科書、教授書)等の多くを収集することができ、また渡独の際にカリキュラム作成者・授業実践者から、カリキュラム案や教材の提供を受けることができた。またその成果を計画通り、学会や学会誌等で発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度はドイツ(ラインラント=プファルツ州、バーデン=ヴュルテンベルク州)のほかに、イギリスやアメリカなどの他の欧米諸国を加え、にカリキュラムや地理教科書等の検討、各国・地域におけるESDの受容の差異や地理教育の影響について検討・考察する。学位論文にこれらの新たな研究成果を加えて、ESDによる地理教育改革を題目とした図書の刊行を準備したいと考えている。
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