研究課題/領域番号 |
15J05999
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾崎 直哉 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 確率最適制御 / ロバスト最適制御 / 低推力軌道設計 / 非線形計画法 / DDP / モデル予測制御 / 深宇宙探査 / アストロダイナミクス |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は「非線形・確率制御問題を数値的に解くためのアプローチの提案」と「超小型深宇宙探査機PROCYONの軌道誘導制御アルゴリズム検討とその実験」の2種類に分けられる. (1)Stochastic Differential Dynamic Programming 非線形・確率制御問題を解く手法の1つとして,U変換を利用したStochastic Differential Dynamic Programming(SDDP)を提案し,低推力軌道設計問題に適用した.提案したSDDPによって解かれた軌道は従来の古典的な最適制御手法によって解かれた軌道とて,不確定な外乱に対するマージンを持っていることが分かった.そのため,Monte-Carloシミュレーションによってロバスト性を評価したところ,従来の低推力最適軌道設計手法と比較して,不確定な外乱に対してロバスト性が高いことが示された.本結果は国際会議ISSFD, AAS/AIAA Space Flight Mechanics Meetingで発表された. (2)Two-Stage Stochastic Programmingによる制約条件付き軌道誘導則の提案 我々が開発した超小型深宇宙探査機PROCYONの軌道上実験の一環として,地球フライバイに向けた軌道誘導実験を実施した.その実験に向けて,自身の研究テーマの1つであるTwo-Stage Stochastic Programmingによる制約条件付き軌道誘導則を提案した.本結果は国内会議SICE誘導制御シンポジウムにて発表された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形・確率制御問題のための数値的解法としてU変換を利用したStochastic Differential Dynamic Programming (SDDP)を導出できたことは大きな進展であると言える.しかし,提案したSDDPは制御量に制約を持つ問題に対して適用できないため,まだまだ進展の余地が残されている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究を進めるための推進方策として,「制約条件付きSDDP」を提案する必要がある.従来,ロボティクスの分野で「制約条件付き線形ダイナミクス」を仮定したロバスト最適化手法が提案されている.そのため,その手法をサーベイし,現在のSDDPと融合した手法を提案するべきだろうと考えている.そのためには,現在のSDDPに制約条件付き凸計画問題(Convex Programming)・正定値計画問題(Semidefinite Programming)を導入することで,解決できると期待している.
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