研究課題/領域番号 |
15J06058
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三浦 一将 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | フィジカルインタラクション / モーションコントロール / 反力制御 / 加速度制御 / ヒューマンインタフェース / 人間支援 / 電磁クラッチ / システム統合 |
研究実績の概要 |
次世代の人間支援ロボットの発展には能動的に変化する人間動作に対応した制御技術が望まれる。本研究の目的は人間・ロボット協働フィジカルインタラクションにおける統一的な制御手法を確立することである。統一的な協働制御則の確立は、人間・ロボット協働動作においてパワーアシストなどの機能の獲得を意味し、この機能の利用による更なる人間支援ロボットの発展へと繋がる。そこで、本研究では従来欠落していた人間動作の能動性を陽に考慮し、人間・ロボット間のフィジカルインタラクションに直接焦点を当てることで、人間とロボットの相反性を見出すことを目的とする。研究代表者らの従来研究において確立した双対制御則のシンセシスによる受動システムの制御技術に基づき、人間・ロボット協働フィジカルインタラクションの人工実現を行う。特に、時々刻々変化する人間動作との協働作業を対象とし、ロボットによる機能の獲得を目指す。ロボットによる人間支援システムの人工実現を考慮すると、人間・ロボット間で想定される全てのフィジカルインタラクションをカバーする必要があるため、初年度である本年度では、まず理想的なロボット駆動力源システムと、理想的な人間駆動力源システムの制御系の構築を第一に取り組んだ。特に人間駆動力源システムの設計においては、小型・高出力を実現する減速機を使用した際の安全性の指標の一つであるバックドライバビリティの劣化に対して、アクチュエータの出力軸への動力伝達を任意に変更するための電磁クラッチを付加し,クラッチ電流を制御することで,バックドライバビリティの高い力制御系を実現することに成功した。提案する可変動力伝達機構は,制御的な慣性をゼロから無限大まで変化させることを可能にしており,学術的な新規性のみならず産業的な有用性も高いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の研究計画であった理想的なロボット駆動力源システムと、理想的な人間駆動力源システムの制御系の構築に加え、当初予定されていなかった加速度制御が実現されない状況下に対しての有効性を示したことから本年度は当初の計画以上に進展しているといえる。これらの研究成果は国際学術誌と国内学会発表にて報告および議論を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究においては人間・ロボット協働フィジカルインタラクションに焦点をあて,相反するシステムのシンセシスを実現するための基盤技術に関する検討を行ったが、今後は多自由度モーションを含む協働動作に関する制御則の実現に取り組む。装着型デバイスを用いたバイラテラル制御により取得した協働動作データをフィジカルインタラクション時の力情報に重点を置いて解析を実施し、協働動作制御則の一般化を行う予定である。
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