研究課題
年次計画において、3年目では、G1期の長さに応じて発現が変動する遺伝子を同定したのち、①その遺伝子の機能を解析すること、②研究成果をまとめ、論文として投稿する計画であった。①これまでに、ホメオボックス型転写因子であるProx1が細胞周期関連分子CyclinD1プロモーター領域に結合し、ヒストンの脱アセチル化をすることによってbHLH型転写因子であるAtoh1の発現制御に関与していることを見出していた。本年度は、CyclinD1によるAtoh1の発現制御機構の解明を目的に解析を行った。in vitroにおけるAtoh1タンパクの発現に着目したところ、 CyclinD1の存在がAtoh1タンパクの安定化に寄与していることを見出した。さらに、その制御がサイクリン依存性キナーゼであるCdkを介したものである可能性を示唆するデータを得た。以上の成果は、神経細胞ではこれまであまり報告がなかったCdkとCyclinD1によるタンパク安定化機構に関する新たな知見を提供するだけでなく、CdkとCyclinD1というG1期の長さを直接制御する重要な分子が、本来の機能である細胞周期の制御と同時に、細胞の未分化性を制御するタンパクの発現を制御するという非常に興味深い結果である。つまり、G1期の長さのダイナミックな変化は、それと並行して起こるCyclinD1-Cdkによる未分化維持に関わる分子のタンパク制御のひとつの指標であると考えられる。②採用期間中に行った神経前駆細胞の運命を決定する分裂のメカニズムに関する研究をまとめた論文をMechanisms of Development誌に投稿した。さらに、上述の①とこれまで行ってきた研究をまとめた論文の投稿を準備中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Neuroscience
巻: 38 ページ: 1277-1294
10.1523
Mechanisms of Development
巻: 147 ページ: 1-7
10.1016