研究課題/領域番号 |
15J06305
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
嶌田 知帆 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 森林再生 / 自然配植 / 規則植栽 / ランダム植栽 / 階層構造 / 種多様性 |
研究実績の概要 |
本研究は,自然配植手法と呼ばれる森林再生技術が自然度の高い森林を再生するかを検証するものである。自然配植手法とは,その場所の自然条件に適した多種多様な樹木の苗木を粗密をつけて植栽する手法である。本年度は,自然配植手法と他の再生手法とを比較研究するための試験区を選定・設置し,調査を行った。設置した試験区は自然配植区,苗木を規則的に植栽する規則植栽区,苗木をランダムに植栽するランダム植栽区(密度2パターン),植栽を行わないコントロール区の計5種類である。試験区を設置した場所は京都府内京都市内の景勝地にあたり,過去に山腹崩壊が生じてから森林が形成されず裸地のまま放置されていた。そのため,植栽樹種は試験地の自然条件に適合し,修景性に貢献する次の8樹種を使用した:イヌシデ,イロハモミジ,タニウツギ,ツクバネガシ,ナナカマド,ムラサキシキブ,モミ,ヤマハンノキ。植栽樹種の選定ならびに自然配植区の設計は生態学や森林立地学などに基づいて行った。試験区は各種2つずつ,計10個設置した。苗木は1本/㎡の密度で植栽を行ったが,ランダム植栽区は5本/㎡の箇所も設けた。遺伝的攪乱を防止する目的で本研究では全て地域性苗木を使用し,樹齢3~4年生の高さ0.4~1.0mの規格のものを計256本植栽した。試験区を設置した場所はニホンジカの高密度生息地であるため,各試験区に小型防鹿柵(4×4m)を設置し,柵の内部に苗木の植栽を行った。 自然配植手法と他の再生手法との間で樹林化の経過を比較することは,自然度の高い森林を再生させる技術の確立が急がれる中で大変意義があると考える。また,試験区を設置した場所の状況から,本研究において試験区を設置したことは,景観修復や防災に大きく貢献すると考えられ,この点からも大変意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画を研究の目的に沿ってすべて実施することができたため,「おおむね順調に進展している」を選択した。具体的な内容を以下に示す。 本研究では,自然配植手法と呼ばれる森林再生技術が自然度の高い森林を再生するかを検証するために,軸となる研究が二つある:①自然配植手法と播種工がそれぞれ導入されてから20年経過した法面における比較研究,②新たに設置する5種類の試験区(自然配植区・苗木の規則植栽区・苗木のランダム植栽区(密度2種)・無処理区)における比較研究。①の研究を遂行するために,本年度では各法面に調査プロットを設置し,測量及び踏査を行い,来年度の調査研究に向けた基盤を整えた。②の研究を遂行するために,試験区を設置する場所を選定し,試験区を設置して比較研究のための調査を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
上記「現在までの進捗状況」に記載の通り,本研究では自然配植手法と呼ばれる森林再生技術が自然度の高い森林を再生するかを検証するために,次の二つの研究を実施する:①自然配植手法と播種工がそれぞれ導入されてから20年経過した法面における比較研究,②新たに設置する5種類の試験区(自然配植区・苗木の規則植栽区・苗木のランダム植栽区(密度2種)・無処理区)における比較研究。今後は,①の研究を遂行するために,種組成や空間構造の多様性,種の機能的多様性,光環境の空間的・経時的変化を把握するための野外調査を実施し,その後解析を行い,結果を法面間で比較することで,種組成・森林構造・光環境が相互に与えている影響を明らかにする。②の研究を遂行するために,樹高や当年の成長,樹勢に関するモニタリング調査を各年度3回行い,施工方法の違いによる森林再生の過程を比較・検証する。
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