研究課題/領域番号 |
15J06330
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 秀治 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 元素分配 / 核-マントル分化 |
研究実績の概要 |
本年度は金属液滴とケイ酸塩メルト間の塩素分配係数を実験的に求めるということを行った。具体的には温度と圧力に対して分配係数がどのように変化するのかを明らかにし、任意の温度圧力条件に適用可能な塩素分配係数のスケーリング式を構築した。このスケーリング式を先行研究から見積もられている地球の核-マントル分離条件に適用した結果、塩素は核には取り込まれず、ほとんどがマントルに分配されることが明らかとなった。本研究の成果は地球表層の塩素枯渇の起源として地球形成期に揮発性元素である塩素に富んだ貯蔵層、おそらく原始大気海洋が宇宙空間に失われたことを示唆し、地球型惑星の大気海洋形成に重要な制約を与えるものである。この成果は日本地球惑星科学連合大会やGoldschmidtといった国内外の学会で発表され、現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に目標としていた実験・分析をすべて終えることができ、金属液滴-ケイ酸塩メルト間の塩素分配係数について任意の温度圧力条件に適用可能な式を構築することができた。以上から概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度では核-マントル分化時において塩素が核へは取り込まれないことを明らかにした。今後はこの成果を論文としてまとめ、国際学会誌に投稿する予定である。また、マントルに分配された塩素がマグマオーシャンが固化する際に固相に取り込まれるのか液相に濃集するのかについても実験的に明らかにしていく予定である。
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