本研究では、金属標的に衝突する電子の軌道を電磁場で制御することにより、発生する制動X線の分布を調整し、平坦な線量分布を生成する手法を提案した。これにより高線量率で平坦な線量分布の取得が可能となり、臨床でよく利用される照射野サイズにも適応できる。シミュレーションや基礎実験によって本手法の実現可能性を明らかにすることが本研究の目的である。最終年となった29年度は、前年度に実施した実験データに基づいたシミュレーションを継続して行った。得られたデータを元に創り出された平坦な線量分布に対して、それらの特性を定量的に評価・比較した。本研究で得られた成果は29年度7月にアメリカで開催された“The American Association of Physicists in Medicine”にて報告した(口頭発表)。さらにこれらをまとめた論文を執筆し、Medical Physics Journalに提出した。 また27年度に、過去の患者データを用いて平坦なX線分布とそうでない分布の比較を、放射線治療に利用される治療計画装置を用いて実施し、論文にその成果をまとめた。前年度までにその論文の英文校正まで完了していたが、今年度は推敲した後Report of Practical Oncology and Radiotherapy Journalへ提出した。
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