研究実績の概要 |
可換環上の(g,K)加群の研究を行った。特に可換環k上定義されたHarish-Chandra対の射に対して定義される関手Iの記述をいくらかの特別な場合に行った。 まずリー群SU(1,1)とその放物部分群から自然に得られる、1/2を含む環上定義されたHarish-Chandra対の射の場合にはkが複素数体の時と同様の具体的な記述を持つことがわかった。例えばSU(1,1)の主系列表現の自然なZ[1/2]-形式は右随伴性を満たす。またこの研究の途上でトーラスなどの特別な場合にHecke環の理論を構築し、対応する特別な場合に双対Zuckerman関手の定義を得た。またこの放物誘導関手Iは右随伴を持つことを証明した。 次に、関手Iによって得られる表現に関する情報をkが複素数体や有理数体などの場合から引き出すために2つの方法をこの研究に導入した。一つは底変換を行うことでこれは体拡大の場合にはすでにF.Januszewski氏によって使われていた。もう1つはコンパクト対象について論じることであり、この概念は圏論の中で深く研究されてきた。これら2つの技法を用いることで私は関手Iに関する新しい底変換定理を証明した。 この応用として私は2つの場合にIの良い記述を見つけることができた。ひとつは整数環Z上の分裂簡約群に対するBorel-Weil型誘導の場合である。この場合、有理数体上の絶対既約表現のうち固定された最高ウェイト空間Zをもつ整形式で最大のものが得られるとわかった。もう1つの場合はIがZuckerman関手の場合であり、特定の条件下で複素数体上と同様の記述を持つことを示した。つまり、対(g,L)から対(g,K)へ群を変換する射があったとき、(ある条件を満たす)(g,L)加群Vに対してI(V)は作用が(g,K)加群に拡張するVの最大部分(g,L)加群になるとわかった。
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