今年度は,主に知覚と記憶の融合的研究を行なった。特に,空間的注意による知覚促進と既知感生起との関連性に着目し,実験心理学的手法により両者の関係性を検討した。得られたデータについては,様々な理論に基づく解釈を加え,国際誌「Consciousness and Cognition」において発表した。 また,空間的注意と記憶判断の関係性についてより詳細に検討するため,受信者動作特性データを取得し,信号検出理論に基づく統計モデリングを行なった。この研究は,記憶情報に基づく意思決定及びメタ認知判断のメカニズムについて統計的推論を行なうものであり,上記研究をより一般的な統計的決定問題の中に位置付けるものである。本研究を行なうにあたって必要となった意思決定メカニズムの統計モデリング手法について,「心理学評論」において解説論文を発表した。 さらに,刺激に対する親近性生起の視野空間内パターンについて,視線データに基づく階層モデリングを通じて検討した。
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