1. 研究目的 : 3次元フォトニック結晶は、その周期性を多様に変化させることで、負屈折率や光局在化などを実現すると期待されている。この3次元フォトニック結晶の構造制御に向け、2種類のコロイド粒子の集合で形成されるコロイド超格子結晶が注目されている。本研究では、多様な結晶構造のコロイド超格子結晶の作製を目指す。 2. 研究手法 : 粒子が自己集合する際に2種類の長距離引力が作用する場合には、複雑な構造を組むことが理論的に示されている。本研究では、コロイド状メソポーラスシリカ粒子(CMS)への磁性物質の導入により磁気的相互作用を、電荷を持つ有機官能基の修飾により静電的相互作用を独立して制御し、新規構造のコロイド超格子結晶の獲得を狙う。 3. 研究成果:本課題では、MSNsの内部に粒子間相互作用を変化させる磁性ナノ粒子などの物質を導入する予定であった。本年度はゲスト種の取り込み量増加に向けて、中空構造を有するナノ粒子の作製を行った。一般的に中空CMSは、シリカナノ粒子や界面活性剤ミセルなどのコア粒子を鋳型としてメソポーラスシリカを析出させることで作製されるが、鋳型除去に塩基処理や焼成など煩雑な過程が必要となる。本研究では、CMSに有機シロキサンを被覆し加熱するだけで、中空CMSが形成することを明らかにした。 一昨年度、FCC構造のコロイド結晶の粒子間隙に選択的に粒子を析出させることで、ABC2構造の新規構造を持つコロイド超格子結晶への作製に成功した。本手法は、研究課題の目的である多様な構造のコロイド超格子結晶を作る汎用的手法となる可能性がある。本年度は、超格子構造の多様化に向けてさらなる組成の展開を目指した。具体的には、金-シリカで構築されるコロイド超格子結晶の間隙にカーボンを詰めたのちに、シリカのみを選択的に除去することで、金-カーボンで構築される超格子結晶の作成に成功した。
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