研究課題
スマートフォンやタブレットなどの小型電子デバイスの普及、家電の電子制御・常時ネットワーク接続化、自動車の自動運転化・コネクティッド化など多様なモノの電子化に伴って、様々な応用用途に合わせた半導体の開発が求められている。中でも、情報を(一時)記憶するメモリ素子は省電力化・高速化・微細化を同時に求められている。従来型メモリの改良では性能に限界があることから、全く新しい原理のメモリが必要となる。このような背景から、本研究では従来型メモリと同等の性能を保ちつつ、微細化と省電力化については従来型メモリを上回る、新原理メモリの開発を進めてきた。本研究では当初、酸化物材料中のイオン移動を活用して多値メモリを開発することを目標としていたが、室温での動作に難があるため初年度に方針を転換した。新しい方針では、全個体Liイオン電池の原理と構成を活用しつつ、電池の充電容量を極端に小さくすることで、少ない消費エネルギーで電圧値を記録することができるメモリの開発を目指してきた。初年度に新方針のもとで動作を確認し、2年目にはその動作原理を解明した。最終年度にあたる本年度は、実用化に向けて微細化の実現可能性を検証した。電子線リソグラフィーにより、50μmの線幅で電極を作製し、その上に直径0.5 mmの円形電解質と電極を成膜することで、実際の動作面積としては12500平方μmの微細なデバイスを作製した。このメモリデバイスについて動作検証を行ったところ、メモリとして動作することが判明した。以上より、本研究において開発してきた新原理メモリは、リソグラフィー等の既存技術により微細化が可能であることを示すことができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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