研究課題
半導体の電荷自由度の操作を利用した既存のエレクトロニクスに磁性体のスピン自由度の操作を融合した新しいエレクトロニクスは、スピンエレクトロニクス(スピントロニクス)と呼ばれ、全く新しいデバイスの開発が期待されている。半導体に磁性原子をわずかにドープした希薄磁性半導体は、半導体と磁性体の両方の性質を示す物質で、スピントロニクスの中核を担う材料として期待されている。強磁性発現の起源として、離れて点在する磁性イオンの局在磁気モーメントが、半導体中を走り回る遍歴キャリアとの交換相互作用を通じて結合することで強磁性が発現するキャリア誘起強磁性が提唱され、より転移温度の高い物質の開発に向け精力的な研究がなされている。代表的な物質として、Ga1-xMnxAsや室温を超えるキュリー温度(Tc)を持つTiCoO2などが知られ、制御性の向上に努力が注がれている。しかしながら、GaMnAs等の既存物質では、Mnの化学的溶解度が低いこと、Mnドーピングにより磁性元素とホールを同時に導入するため、キャリア数と磁性元素量を独立に変化させることができないことなどが大きな問題となってきた。近年、122型鉄砒素系高温超伝導体と等しい結晶構造を持つ新規希薄磁性半導体Ba1-yKy(Zn1-xMnx)2As2が合成された。本系は高いTc=220 Kを持つことに加えて、BaサイトをKで置換することでホールを注入し、磁性元素MnはZnサイトに導入するため、両者を独立に制御できる。本研究では、本希薄磁性半導体の電子構造及び磁気構造を角度分解光電子分光、X線磁気円二色性、及び共鳴非弾性軟X線散乱の方法を用いて調べた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Physical Review B
巻: 91 ページ: 140401
巻: 92 ページ: 235120