研究課題/領域番号 |
15J07023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
室岡 雅樹 東京大学, 情報理工学, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ヒューマノイドロボット / 自律システム / 遠隔操縦 / 動力学シミュレータ / 動作計画 |
研究実績の概要 |
平成27年度は3年間の研究期間の一年目として,研究の基盤となるシステム,基礎手法などの考案,開発,実装を行った.実世界を反映した動力学シミュレーション環境において,人間の操縦履歴からヒューマノイドの動作を学習することを最終的な目的とし,未知遠隔環境に対応可能なロボット操縦システムやシミュレータへの認識物体モデル生成・挿入機能などの基盤システムを実装した.また,汎用運搬戦略動作計画手法や視覚・力覚統合物体モデル生成法を考案した. 災害現場のような未知遠隔環境においては,人間の判断に基づく操縦指令とロボット自身の自律的な認識行動を統合することが,目的とするタスクを遂行する際に重要となる.本研究では,自律的な物体認識や動作計画の結果を必要に応じて人間が遠隔地から修正できるシステムを構築した.環境・物体認識や移動・操作行動計画の過程において,必要に応じて人間が割り込み可能な認識・計画手法を開発し,操縦者のための可視化機能,インターフェース機器と組み合わせることで,本システムは実現されている.等身大ヒューマノイドロボットHRP-2と当研究室で開発した等身大ヒューマノイドロボットJAXONに,本システムを適用し,バルブ回し,ドア開閉,不整地踏破などのタスクを実現し,実ロボットに対する有効性が確認された. 動力学シミュレーション環境は,実世界のロボットや物体を破損させることなく試行的な動作を実行できる点,環境生成更新や並列・高速化が容易である点などから,認識行動学習の際のロボットが行動する環境に適している.シミュレータ上に実世界を模した仮想環境を自動で構築するために,実世界で認識した物体の形状モデルを生成し,オンラインで仮想環境に挿入する機能を開発し,既存の動力学シミュレータに適用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通り研究の基盤となるシステムや基礎手法の開発を進め,学会誌,国際学会を通じてそれらの成果を発表している.またDarpa Robotics Challenge等の実践的な場面において,開発した遠隔操縦システムを適用し実環境における有用性を示している.以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は,本年度開発した基礎システム,基礎手法を統合して連携させ,仮想環境での操作履歴に基づく自律的な認識行動の学習の一連のプロセスを実現することを目標とする.また,近年機械学習分野において大きな成果をもたらしている深層学習をロボットの動作の自律化に適用することも重要であると考える.
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