研究課題
本年度は,様々な小惑星が捕捉されており,また複数の宇宙ミッションにおいて利用が検討されている,quasi-satellite orbit(QSO)の様々な種類(ファミリー)を明らかにし,得られたQSOの工学的応用を提案した.特に,地球-月系および火星-フォボス系の円制限三体問題において,2D不安定周期QSOを分岐解析することで新たに分岐解として3D不安定周期QSOの様々なファミリーを明らかにした.得られたQSOの一つ目の応用として,3D不安定周期QSOに付随する不変多様体の相空間構造の近傍に,長期安定な3D準周期QSOが存在することを示した.すなわち,3D不安定周期QSOの不変多様体を目印に,長期安定な3D準周期QSOを効率的に探索できることを示した.長期安定な3D準周期QSOは,月やフォボス等の天体の高緯度領域の長期間の観測や探査に有用と考えられる.得られたQSOの二つ目の応用として,不安定性の弱い3D不安定周期QSOの不安定多様体によるフォボスへの着陸を提案し,その初期解析を行うことでミッションへの有用性を示唆した.従来提案されていたラグランジュ点周りの不安定性の強い周期軌道から生じる不安定多様体を用いるフォボス着陸軌道と比較して,着陸前の軌道保持が容易となる利点が考えられる.得られたQSOの三つ目の応用として,太陽の摂動を含めた空間円制限四体問題において,地球低軌道から太陽重力の摂動や月フライバイを利用して月周りの長期安定な3D準周期QSOに,1m/s以下の小さい投入マヌーバによって遷移する軌道の設計手法を提案した.投入マヌーバはミッション成功に関わるクリティカルなイベントであるため,小さい投入マヌーバによって長期安定な軌道に遷移可能な提案軌道は,燃料消費量のみならずロバスト性の観点からも有利であると考えられる.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)