研究課題/領域番号 |
15J07161
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 剛之 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | ゼオライト / ヘテロ金属 / ルイス酸 / 貴金属代替材料 / 固体触媒 |
研究実績の概要 |
本年度はMITとの共同研究を中心として以下のような研究結果を得られた。 1)d-PDF法の骨格中サイトの中のヘテロ金属の分析への応用 固体ルイス酸触媒としてHfを含んだゼオライトは多くの工業的な有機合成プロセスで利用されているアルドール反応など重要な有機反応に対し触媒活性を持つことが知られている。Hfは原子半径が大きいため、その多くをゼオライト骨格中に導入することは困難とされている。そこで当研究室で開発されているメカノケミカル法をHf含有MFI型ゼオライトの調製のために利用し、およそ1.6 mol%まで導入することに成功した。また、導入を確認するための手法としてDifferential Pair Distribution Function法(d-PDF法)を利用し、骨格中、骨格外のヘテロ金属種の状態について評価できることを確認した。 2)d-PDF法による細孔中のヘテロ金属クラスターの構造解析 上で述べられた検討の中でd-PDF法がこれまで構造解析困難であったゼオライト細孔中のナノクラスターの構造解析へと応用可能であることが判明した。そこで炭化モリブデン(MoCx)をゼオライト細孔中で調製し、石油代替エネルギーをバイオマスから作りだす反応として注目されている水素化脱酸素反応(Hydrodeoxygenation、HDO反応)へと応用した。その結果、Mo2C・ゼオライトそれぞれ単体では見られない反応選択性に加え、Mo2Cとゼオライトの単純混合物では見られない触媒耐久性も持ち合わせることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度までに得られた成果をもとにMITへと一年間留学を行い研究に取り組んだ結果、ゼオライトの新規応用分野拡大の基礎になる方法論の開発に関する成果を挙げるに至った。骨格中のヘテロ金属種のみならず細孔中のナノクラスターについて研究対象を広げ、ゼオライト中に存在しうる様々な状態のヘテロ金属種について知見を深めた。今後はこれらの知見を応用してこれまでにない材料系へと応用して行くことを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
本手法によって開発された材料を社会的な需要のある新規反応へと応用する。具体的な検討内容としては用いるヘテロ金属の種類・個数、さらには用いる骨格構造などの触媒活性への影響を考えている。学術会議において発表を行い、また学術雑誌への論文投稿を積極的に行う。最終的に得られた成果を博士論文としてまとめる。
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