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2015 年度 実績報告書

命題・様相・情報概念の論理的構造と哲学的基礎

研究課題

研究課題/領域番号 15J07255
研究機関首都大学東京

研究代表者

山﨑 紗紀子  首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2017-03-31
キーワードModal logic / Modal companion / Intuitionistic logic / Proposition / Subintuitionistic logic / Kripke semantics / ゲーデル・マッキンゼイ・タルスキの定理 / 情報
研究実績の概要

本年度は、哲学的側面から、命題概念についての考察を行い、論理学的側面から様相論理と非様相論理(様相を含まない命題を扱う論理。例えば、古典論理や直観主義論理などが挙げられる)との間の対応関係(様相同伴(Modal Companion))について検討を行った。様相同伴とは、簡単には、非様相論理の各体系をそれぞれ対応する様相論理の体系に埋め込むことができるという関係のことであり、その研究はこれまで様々に行われていた。また、命題概念というものは様々な哲学的問題(認識論や言語哲学において生じる問題)についての考察を行う際に重要であると考えられてきた。
本研究では、様相同伴が持つ哲学的意義と、昨年度から引き続き行っている、北陸先端科学技術大学院大学の佐野勝彦助教との共同研究の成果(様相同伴についてのテクニカルな結果)、とについての考察を通じて、命題が持つ性質についての研究を行った。そのことから、命題と一括りに呼んでいたものの中にはっきりとした多様性があること、その多様性は階層構造をなしており、様相論理で扱われている概念を用いて整理可能であるということを明らかにした。この命題の多様性・階層性は、非様相論理についてのみの研究が進められていた時からすでに意識されていたことではあったが、様相同伴についての研究が進められたことにより、よりはっきりとその存在が浮かび上がったと言える。
本研究において、様相同伴に関する考察から、ある種の命題が様相的性質のようなものを持つことは明らかにできたが、そのことはすべての命題に当てはまるのか、また、命題が持つべき性質はそれだけなのか、ということについては、今後更なる研究が必要となる。また、様相同伴のテクニカルな方向の研究については、引き続き佐野勝彦助教とともに更に進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、様相同伴についての考察から、直観主義論理のクリプキモデルが成立した経緯について考察し、学会での発表を行った。さらに、様々な哲学的問題を解決・考察する際に重要となる命題概念について研究を行い、命題には多様性・階層性が存在することを明らかにすることができた。また、昨年度から引き続き行っている佐野勝彦助教との共同研究では、昨年度中に成果をあげることができた様相同伴に関するテクニカルな結果から、更に研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

本年度の進展を受けて、命題が持つ性質についての考察を引き続き行っていく。本年度の研究では、様相同伴についての考察を行うことで、広い範囲の非様相論理の体系が、綺麗な階層構造をなしていることは明らかにできたが、非様相論理には、ここで言及した以外の論理も存在する(例えば、線形論理など)。そもそも、非様相論理では演算子の振る舞いによって、扱う命題の性質が変わってくるのであるが、例として挙げた線形論理では、直観主義論理や古典論理で扱われている連言演算子や選言演算子が更に二つに分解される。そのため、線形論理では、直観主義論理や古典論理が扱う命題よりも、より繊細な性質を持った命題を扱うことができる。このとき、線形論理が扱う命題は、その普遍性が低く、推論で一度使用されたら消滅してしまうような、情報のリソースとしての性質を持っていると考えることができる。そこで、今後は、これまで扱ってきた古典論理や直観主義論理といった非様相論理の体系に加え、線形論理などで扱われているのがどのような命題であるのかについても研究を行っていく。そのことから、命題が持つ性質にはどのようなものがあるのか、また、命題概念についての考察を行うことによって、どのような哲学的問題を解決することが可能であるのかということについて、更なる研究を進めていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Constructive Embedding from Extensions of Logics of Strict Implication into Modal Logics2016

    • 著者名/発表者名
      Sakiko Yamasaki and Katsuhiko Sano
    • 雑誌名

      Structural Analysis of Non-Classical Logics

      巻: - ページ: 223-251

    • DOI

      10.1007/978-3-662-48357-2_11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 命題概念および様相概念の意義再考-近年の様相同伴についての論理的研究をふまえて-2016

    • 著者名/発表者名
      山﨑紗紀子
    • 雑誌名

      哲学誌

      巻: 58 ページ: -

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Constructive embedding from Visser's basic propositional logic to modal logic K4 via non-labelled sequent calculi2016

    • 著者名/発表者名
      Sakiko Yamasaki (Joint work with Katsuhiko Sano)
    • 学会等名
      The 50th MLG meeting at Ohara
    • 発表場所
      大原の里, Ohara, Kyoto, Japan
    • 年月日
      2016-01-09
  • [学会発表] S4翻訳のモデル論的考察2015

    • 著者名/発表者名
      山﨑紗紀子
    • 学会等名
      日本科学哲学会
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      2015-11-22

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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