研究課題/領域番号 |
15J07311
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成田 千尋 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
キーワード | 日韓国交正常化 / 韓国軍ベトナム派兵 / 朴正煕政権 / APATO構想 / 沖縄返還問題 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、以下の①~③について調査・研究を実施した。 ① 米国のベトナム戦争介入と日韓国交正常化の相関関係について:前年度まで日本国内及び韓国で収集した史料を元に論文を執筆していたが、史料が不足していたため、11月に米国立公文書館及びジョンソン大統領図書館で追加的に史料調査を行った。その結果、未解明であった在韓米軍削減と韓国軍のベトナム派兵の関係について明らかにすることができ、これを前年度の成果と合わせ論文「米国のベトナム戦争介入と日韓国交正常化―韓国軍ベトナム派兵に着目して」として発表した。
② 韓国・中華民国政府の安全保障に対する認識と、沖縄返還交渉に対する両政府の働きかけについて:学内所蔵資料などを精査した後、5月に韓国の国会図書館、外交史料館等で2週間史料調査を行い、8月に第10回(2015年度)次世代研究者フォーラムで沖縄返還をめぐる韓国政府の動向を中心に報告した。さらに、11月に米国立公文書館で追加的に史料調査を行い、韓国政府の集団防衛構想をめぐる日米、中華民国政府の動向も明らかにし、論文「朴正煕政権の集団防衛構想と沖縄返還問題」としてまとめ、発表した。加えて、平成28年2月に台湾で2週間近代史研究所、国史館等で史料調査を行い、沖縄県公文書館で収集した史料と併せて分析し、途中経過を研究ノート「沖縄返還と台韓関係―独立論への認識に着目して」としてまとめ、投稿した。
③ 沖縄の施政権返還決定後の沖縄現地の動向が日米両政府及び東アジア情勢に与えた影響について:8月、12月に2名の全沖縄軍労働組合OBの方に米軍施政下での基地労働者の状況について詳しく聞き取りを行い、インタビュー「全軍労OBが見た米軍施政下の『RYUKYUS』と基地」としてまとめた。また、沖縄県公文書館等で全軍労及び沖縄への自衛隊配備に関する史料を収集した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体は当初の計画通りには進んでいないが、史料収集はほぼ計画通りに実施することができた。また、史料調査の過程で新たな課題を発見し、成果として発表することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、①沖縄の施政権返還決定後の沖縄の動向が日米両政府に与えた影響、②米中和解が沖縄返還実現までの過程に与えた影響、について明らかにすることを目標としている。このために、昨年度中に収集した史料及び学内所蔵史料を精読した上で追加的に史料調査を実施し、分析を加え、学会報告、学会誌への投稿を行う予定である。
|