研究課題/領域番号 |
15J07389
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長田 庸平 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 分類 / 形態 / 多様性 / 応用昆虫学 |
研究実績の概要 |
オオヒロズコガ亜科 シイタケ害虫を含むMorophagoides属では、既知のシイタケオオヒロズコガM. moriutii、ウスリーシイタケオオヒロズコガM. ussuriensis、ニシシイタケオオヒロズコガM. occidentalis、ミナミシイタケオオヒロズコガM. meridianusの4種に加えて、キイシイタケオオヒロズコガM. robinsoni、ミヤマシイタケオオヒロズコガM. aquilonis、ヒメシイタケオオヒロズコガM. breviculus、ヤクシマシイタケオオヒロズコガM. yakuensisの4新種の記載を行った。これらシイタケ害虫はDNAバーコーディングによる識別も可能であることが分かった。マンネンタケの害虫であるマダラオオヒロズコガMorophaga formosanaと近縁なヤエヤママダラオオヒロズコガM. iriomotensisの再記載を行い、2種の識別点を明らかにした。ツリガネタケを寄主とするScardia属の1新種の記載を行った。これまで知られていなかったAmorophaga japonicaの幼生期の記載を行った。
コクガ亜科 貯穀害虫を含むNemapogon属は、コクガN. granellaの他に、オビコクガN. mesoplaca、シロコクガN. robusta、ウスイロコクガN. bidentataの3日本新記録種を含む4種を確認した。これらの種は外見的に類似しているが、斑紋や交尾器で識別が可能であることが分かった。加えて、DNAバーコード領域による識別も可能であることを明らかにした。Archinemapogon bacurianusを国内で初めて確認し、雌交尾器を初めて記載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これらの成果は6本の査読付き国際英文誌の論文として結実している。また、害虫種となっている分類群を手掛けることもあって、応用面にも大きく貢献している。この他、学会発表等も積極的に行い、多くの研究者との交流を発展させた。今後の研究のますますの発展を期待する。また、これらの功績が認められて九州大学大学院生物資源環境科学府の学府賞を受賞した。よって、期待通りの研究が進展したと見なした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、農林業害虫を中心とした小蛾類の分類体系の再構築を行い、害虫管理の基礎として各種の幼生期の各齢および蛹の詳細な形態記載を行い、各種の識別法を確立させていく。そして、得られた成虫形態・幼虫形態・蛹形態・分子情報を統合した、発育ステージを問わない総合的な検索同定システムの構築、そして応用体系昆虫学を用いた潜在的な害虫の探索・推定・抽出を行う。
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