①シイタケ害虫を含むMorophagoides属の分類学的研究:分類学的再検討の結果、M .moriutiiのタイプシリーズに複数種の混在を確認し、タイプ標本を検して真の本種の再記載を行った。さらに国内から未記録種1種と6未記載種を確認し新種記載を行った。これまで確認した8種のうち5種が害虫として報告(混同)されていることが分かった。その5種は、雌雄交尾器とDNAバーコーディングによる識別が可能であった。 ②マンネンタケ害虫を含むMorophaga属の分類学的研究:マンネンタケ害虫のM. formosanaは近縁のM. iriomotensisに外見が類似しているものの、斑紋や交尾器で識別可能であることが分かった。 ③貯蔵食品の害虫を含むNemapogon属の分類学的研究:日本産本属の分類学的再検討を行った結果、N. granellaに加えて、N. mesoplaca、N. robusta、N. bidentataの3日本新記録種を含む4種に整理した。これらの種は、斑紋・交尾器・DNAバーコードで識別可能であることを明らかにした。害虫として報告されているのはN. granellaだけである。N. granella とN. bidentataは幼虫でも識別可能である。 ④その他、非害虫種の再検討および生活史に関する研究:野生のキノコ類を寄主とする分類群について、4種の日本未記録種を記録し、2種の未記載種を確認し新種記載を行った。各種の寄主情報などの新知見も収集できた。そして、ヒトクチタケを寄主とするAmorophaga japonicaの幼虫・蛹の形態記載を行い、生活史の知見をまとめた。
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