研究課題/領域番号 |
15J07414
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
越智 萌 京都大学, 法学研究科, 特別研究員(SPD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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キーワード | 国際刑事法 / 国際刑事手続 / 人道に対する犯罪 / 法益 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年の国際刑事法を取り巻く現状を反映した、国際刑事管轄権・手続法的関心に基づく国際刑事実体法の体系的整理を目的とする。3年目である本年は、1年目・2年目で行った、いかなる場面で中核犯罪という既存の犯罪類型の曖昧性が問題となっているか、そしてそれらが各場面において、どのように、なぜ問題となっているのかについての研究を土台に、これまで収集した情報の整理と分析を行って、体系的整理のためのアプローチを検討した。 まず、2年目の課題のうち未解決であった引渡における中核犯罪の類型の曖昧さが問題になる場面の特定に関して分析を行い、論文「国際犯罪に関する引渡義務の抵触と優先―中核犯罪の重大性の考慮について」を執筆し、雑誌に投稿した。 また、報告「The Protected Interests of International Core Crimes and their Impacts on States’ Obligations」では、中核犯罪の分類において重要な視点となる、法益の帰属の問題に関し、国家の義務の観点と関連させて分析した。加えて、これまで収集した条約文等の情報の整理を行い、「A Modern Categorization of International Crimes」において、3年目の課題に関するアプローチについて議論した。 さらに、3年目の課題である各犯罪の法益による分類方法に関する議論として、「人道に対する犯罪における国家関与の要件―犯罪概念の二元化―」と題した報告を行い、国家が関与する人道に対する犯罪と関与しない同犯罪の違いについて論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画では、第一に、2年目の課題のうち未解決のものについて引き続き分析を進めると同時に、第二に、すでに収集した3年目の課題についての情報の整理と分析を行うことを目標としていた。 第一の目標との関係では、引渡先の決定における中核犯罪の重大性の考慮が行われる際に、中核犯罪の分類の曖昧性が問題となる場面を具体的に挙げて検証した論文を投稿し、目標を達成した。 第二の目標との関係では、3年目の課題としていた国際刑事実体法の体系的整理のためのアプローチに関する研究報告を行って研究のまとめ方を確立した上、4つの中核犯罪のうちの一つである「人道に対する犯罪」の法益と分類についての研究を行い報告した。 3年目の途中で出産したため、研究中断を行ったため、3年目の課題をすべて完了することには至らなかったが、研究再開後のための研究アプローチと資料収集はほぼ完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、4つの中核犯罪のうちの残り3つについて、その法益と分類方法に関する検討を進める。
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