研究課題
北米アラスカ・ポーカーフラット試験場において、50フレーム/秒で取得したデータを用いて、フリッカリングオーロラの出現特性を統計的に調べた。その結果、背景が明るいオーロラと広い空間スケールを持つ加速領域がフリッカリングオーロラを発生させる有利な条件であることを示した。また、フリッカリングオーロラの振動数は、背景オーロラの強度やサブストームの相とは相関が弱く、振動数の幅もサブストームの相によらずほぼ一定で狭いことが分かった。この結果はフリッカリングオーロラの発生領域がオーロラ加速領域のキャビティ―など、低高度加速領域に制限されていることを示唆する。また、フリッカリングオーロラの振幅が背景のオーロラ強度と共に減少することを初めて観測的に示した。これは、エネルギーの高い電子ほど波の相互作用を受けにくいというシミュレーション結果と定性的に一致すると解釈できる。さらに、フリッカリングオーロラの形成メカニズムの可能性として酸素イオン電磁イオンサイクロトロン(EMIC)波だけではなく、マルチイオン(酸素イオン、ヘリウムイオン、プロトン)EMIC波を検証するために、160フレーム/秒の高速撮像を行ったところ、プロトンEMIC波によって形成された可能性のある50-60 Hz、~80 Hzの高速フリッカリングオーロラを初めて発見した。高速フリッカリングは従来から報告されている典型的な~10 Hzのフリッカリングオーロラの低緯度側に出現し、パッチスケールは典型的なフリッカリングオーロラよりも小さいことが分かった。また、このような高速フリッカリングは0.1秒スケールで突発的に出現しており、衛星観測やロケット観測では検出しづらいイベントであることが分かる。これらの結果は、フリッカリングオーロラがマルチイオンEMIC波で形成された可能性を示す初めての証拠であると言える。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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