研究実績の概要 |
Campana-Peternell予想について研究を行った. Campana-Peternell予想とは, ネフな接束をもつFano多様体は有理等質多様体であろうという予想である. まず今年度の初めには, n次元でPicard数がn-5より大きい場合のCampana-Peternell予想が正しいことについて論文にまとめた. この過程で,一般のCampana-Peternell予想はn>2(Picard 数)+1の場合に帰着できることがわかった. またn次元でPicard数がn-5に等しい場合についても調べた結果, 6次元でPicard 数が1の場合に帰着されることを確認した. またこの過程で副次的に次の事がわかった: Ottavianiが構成したFano多様体は, CampanaとPeternellの提示した問題``接束が端射線にそってネフの場合, もともと接束がネフか''の反例である. Ottavianiの構成したFano多様体はPicard数が2の7次元Fano多様体であって, 5次元二次超曲面上の射影空間束の構造をふたつ持つものである. この例を元に, 有理等質多様体によるファイブレーションの合成のみで作られている多様体についても調べた. より正確には, Fano多様体Xであって, 次の条件``Xから始まる勝手な初等的収縮の合成を取ってきたとき, その合成に現れる初等的収縮はすべて有理等質多様体によるファイブレーションである''を満たすものついて調べ, Picard数がn-5より大きい場合には分類した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Picard数がn-5より大きい場合に予想が正しいことがわかった. また, Picard数がn-5に等しい場合は, Picard数が1の場合に帰着できた. またその過程で行ったベクトル束の数値的条件に関する研究は, 一般論としては満足行くものではないが, 特別な場合, 例えば7次元でPicard数が2の場合等を調べるのに重要であった. また端射線に制限した接束のネフ性に関するCampanaとPeternellの問題に反例があることがわかった.
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