研究課題
当該年度は①In vivoマウス酸素負荷網膜症 (OIR) モデルを用い、HB-EGF及びVEGFの発現変化、② In vitro 網膜毛細血管内皮細胞 (HRMECs) を用いたHB-EGFの細胞遊走に関する検討、③VEGF誘発細胞増殖に対するEGFリガンドのmRNA発現量変化の検討、④HB-EGF及びVEGF誘発HRMEC増殖に対するHB-EGFの作用に関して検討した。その結果、OIRモデルにおいて、HB-EGFは、網膜血管新生が最も惹起される時期である生後17日後において、有意に発現上昇した。一方、VEGFは生後14及び17日後において有意に発現上昇した。また、HB-EGF及びVEGFの局在について検討した。生後17日後の網膜において、新生血管部位及びその周囲において、HB-EGF及びVEGFの発現が認められた。特に、HB-EGFは異常血管新生周辺部位で高発現していた。HRMECs を用い、HB-EGF誘発細胞遊走におけるCRM-197の作用をboyden chamber assayにより評価した。CRM-197 (10 μg/mL) は、HB-EGF誘発及びVEGF誘発HRMECの遊走を有意に抑制した。さらに、HB-EGF及びVEGFを同時処置した群においてもCRM-197 (10 μg/mL) 添加により、有意な細胞遊走抑制作用を示した。VEGF添加1時間後に認められたHB-EGF mRNA発現量の上昇は、抗VEGF抗体であるAflibrtceptにより有意に抑制された。HB-EGF siRNAを用いてHB-EGF誘発細胞増殖における内在性HB-EGFの関与を検討した。HB-EGF siRNA処置により、HB-EGF誘発細胞増殖の抑制が認められなかった。抗HB-EGF抗体 (1、10 μg/mL) は、VEGF誘発HRMEC増殖に対して有意な抑制作用を示した。以上の結果と1年目、2年目の研究成果をまとめ、論文を投稿し、論文タイトル名『Both autocrine and paracrine signaling of heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor enhances ocular neovascularization.』(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 38(1):174-185, 2018.) として公表した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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