研究課題/領域番号 |
15J07706
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川原 僚 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 3次元形状復元 / カメラキャリブレーション / 水中撮影 / 多重反射 / 光の屈折 / アクティブステレオ / Underwater Vision |
研究実績の概要 |
水中物体を撮影対象とし、計測系において投影・観測される水中光線群を体系的に扱える水中光線空間のモデル化と,その幾何学的・光学的解析に基づいた3次元形状復元法の確立を目的とし、研究に取り組んできた。 平成28年度においては、研究計画に基づき、まず前年度において個々に研究を進めてきた水中光線を観測するカメラ、水中光線を制御するプロジェクタからなる計測系と、空間的な制約から仮想多視点環境をつくり出すための複合鏡を組み合わせた光学系の検討を進め、さらに微視的環境へと拡張するために撮影環境の検討を行った。そしてこの過程において、さらに球面レンズを導入することで微小物体に対して接写型の仮想多視点撮影環境が構築できるという有望な着想を得た。よって次に、再度事前準備・予備調査を行ったうえで計測系における投影糧の検討、キャリブレーション法の検討を行った。 具体的には、計測系における屈折および多重反射を考慮した投影過程の理論的な検討と、キャリブレーション法を考案するために、(1)単一のカメラと球面屈折層の組からなる仮想カメラモデルの考案および投影過程の記述、(2)3枚の鏡の多重反射による仮想多視点環境の記述、(3)これらのキャリブレーション法の考案およびシミュレーションによる評価と実験を行った。また、特に新たに導入される(1)については、これまで取り組んできた水中カメラにおける平面屈折層を考慮した仮想カメラの応用として考えることができ、研究目的に掲げる水中光線空間のモデル化について新たな計測系で検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、当初の計画であった複合鏡の導入の検討および微小物体への拡張に対して、球面レンズを導入した新たな光学系を考案しており、これは微小物体に対して、被写界深度を確保しながら接写型の仮想多視点撮影環境が構築できる点で当初計画していたシステムよりさらに有望である。そして、本年度は既にこの計測系における投影過程の記述とキャリブレーション法についての検討も進めている。また、これまでの水中プロジェクタ・カメラシステムについての取りまとめについても国際論文誌の採録を得ており、当初の計画以上の進展があったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に新たに有望な着想を得て考案・検討を進めてきた計測システムについて、形状復元法の有効性の実証と、さらなる発展を目指す。 具体的には、水中光線を観測・制御するカメラ・プロジェクタに加え、球面レンズと複合鏡を応用した新たな光学系について、実環境実験を含めた形状復元法の定量的評価と成果の取りまとめを行い、水中光線の光学的な性質についてもさらに検討を進めていく。
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