現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、fibrocyte前駆細胞と最近報告されている、CD3-, CD45+, CD14+, CD34+細胞群がHIV-1感染に対しての感受性がmonocyte(CD3-, CD45+, CD14+, CD34-)よりも高い事を明らかとした。その要因として、CD4, CCR5, CXCR4のHIV-1レセプターの発現がfibrocyte前駆細胞に於いて、monocyteより優位に高いことなどが考えられる。さらに、健常人のPBMCを採取し、HIV-1を短時間で感染させ、その後、fibrocyte(20%FCS in D-MEM)、macrophage(10% RPMI with M-CSF)のそれぞれの培養条件で培養を行い、それぞれfibrocyte、macrophageでの感染効率をPCR法を用いて、HIV-1の複製効率をp24(gag)ELIZAを用いて比較解析を行った。fibrocyteではHIV-1感染後7日、11日でのHIV-1感染率はmacrophageより優位に高いが、一方で、感染後11日でのHIV-1のgagタンパク質の産生効率はmacrophageでfibrocyteより高かった。実際にHIV-1感染者の末梢血からfibrocyte前駆細胞(CD3-, CD45+, CD14+, CD34+)、monocyte(CD3-, CD45+, CD14+, CD34-)、CD4陽性T細胞(CD3+)をそれぞれFACS ARIAを用いてsortingし細胞を得た後に、PCR法でそれぞれの細胞でのHIV-1の感染率を解析したところ、fibrocyte前駆細胞では6検体全てでHIV-1のpro-virusを検出でき、monocyteでは2検体で、CD4陽性T細胞でも2検体でfibrocyte前駆細胞はmonocyte、CD4陽性T細胞より高い感染率を示した。 以上より、fibrocyte前駆細胞はHIV-1感染に対してmonocyteより感受的であり、これまでに分かっている培養fibrocyteではHIV-1感染による細胞死に対して抵抗性である事から、fibrocyteがHIV-1の臨床上で大きな問題となっている、リザーバー細胞となり得る可能性をさらに強化する。
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