研究実績の概要 |
近年、創傷や老化に伴う線維症の原因としてmonocyteから分化する、fibrocytes( fibrobralstic luekocytes)がしばしば報告されるようになって来た。我々はfibrocytesがHIV-1の新規宿主細胞となることを世界に先駆けて示した。また、マクロファージと比較し、長期にHIV-1感染を支持すること、HIV-1感染に伴う細胞死に抵抗性であること、抗ウイルス薬による治療前後両方のHIV-1感染者の末梢血中から、fibrocytes前駆細胞でHIV-1のpro-virusがmonocyte, T細胞に比べ高頻度に検出されたことなどから、fibrocytesがHIV-1が根治に至らない大きな理由である、潜伏感染細胞となりうる可能性を示した。また、末梢血にHIV-1を感染させ、その後、fibrocytesを誘導する培養条件、マクロファージを誘導する培養条件で培養を行うと、fibrocytesを誘導する培養条件で高いHIV-1感染率を確認した。これは、fibrocytes前駆細胞が高いHIV-1感受性を示すことを示唆する。 さらに、培養fibrocytesにおいてmicro array解析を実施し、fibrocytesのマーカーとなりうるSLAMF7を見出し、フローサイトメトリーによりfibrocytesにおいて発現を確認した。SLAMF7をマーカーとして用いれば、fibrocytesと極めて近縁の細胞であるマクロファージと綺麗に分離できる。この発見はfibrocytes研究全体に貢献できる発見であると考える。
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