研究課題
カーボンナノチューブ(CNT)をトランジスタなどの電子デバイス中の半導体材料として応用することで、従来の材料と比較して高速・低消費電力の実現したり、透明性・柔軟性などの新しい機能を付加したりすることが期待されている。CNTのポテンシャルを生かすには、電子構造が異なる2つのタイプ(金属型、半導体型)のCNTのうち、半導体型のもののみが高密度に並んだアレイ構造を用意する必要がある。前年度までに有機薄膜と水蒸気によってCNTの燃焼が大きく促進されることを見出し,純度が極めて100%に近い半導体型CNTのアレイ構造を得ることに成功した。そこから多数のトランジスタを作製し、それらの特性が従来手法と比較しても優れていることを確認した。しかし、この手法によって作製されたトランジスタの性能は理論上実現可能なレベルからは大きく見劣りしていた。化学気相成長法による合成段階で得られたCNTの密度や長さが小さく、さらには金属型不純物の初期割合が非常に高かった(~33%)ためであり、現状では合成段階がボトルネックとなっている。そこで当該年度は、1本ずつのCNTの成長機構を改めて詳細に調べることによって、将来的に密度や直径などの均一性を高め、初期の金属型割合を下げることを目的として研究を行った。単結晶基板上で得られるCNTの配向形態を生かしたうえで、合成時に炭素同位体標識を特定のパターンでCNTに組み込むことにより、多数の長尺孤立CNTについての成長過程を合成後に追跡することができるようになった。従来観察が困難であった1本ずつのCNTの成長速度、成長待機時間、成長寿命などを詳細に調べられるようになり、さらなる合成制御の研究を促進するものと期待している。この研究成果について、国内外で学会発表を行うとともに、論文が国際誌に出版された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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