研究課題/領域番号 |
15J07917
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
竹田 泰典 山形大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 有機トランジスタ / 印刷技術 / 集積回路 / 相補型 |
研究実績の概要 |
本年度は、印刷技術を用いた有機トランジスタを作製し集積回路応用を行うために、印刷プロセスに適した新しいデバイス構造の考案と作製プロセス開発を行った。有機トランジスタの高性能化とp型/n型二種類の半導体を用いた相補型回路の印刷技術による実現は、低消費電力と回路レイアウトの簡略化が見込まれるため無線通信回路やウェアラブルデバイスに有機トランジスタを応用する際には重要な課題に一つである。 有機トランジスタの高性能化と相補型回路を同時に実現するために、n型トランジスタとp型トランジスタを積層した構造を用いて相補型回路を実現することを検討した。p型とn型の形成する層を分離することで、簡便な方法で各トランジスタに適した電極表面改質が可能になった。さらに、ゲート電極を中間増に配置することで下部ではトップ・ゲート構造と呼ばれる良好な特性が得られやすい構造、上部ではボトムコンタクト構造と呼ばれる耐熱性が低い半導体も使用できるという特徴がある。 この構造を用いた相補型回路で集積回路を作製した。従来、n型は低性能で大気不安定な材料であったが、下層に作製したn型有機トランジスタはp型に匹敵する良好な性能でった。また、上層に絶縁体、金属膜が形成されることで封止層の効果も得られている。 作製したインバータ(NOT)回路、リングオシレータ回路、Dフリッププロップ回路は低電圧で良好に駆動した。Dフリップフロップ回路はメモリの読み出し回路やディスプレイの駆動回路に多用される重要な回路である。 また、本研究で作製した相補型回路を人間の肌の凹凸にも追従可能な1μmという超薄膜フィルムを用い、その上にデバイスの作製を行った。作製した相補型集積回路は、ペラペラで風に揺れている様な状態でも正常に動作した。これらの結果は、印刷有機トランジスタの高速動作化と超薄膜基板上への集積回路応用に向けた非常に重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に必要な装置の移転と、その代替装置の不具合により、来年度の計画と今年度の計画を入れ替えるなど、若干研究計画を変更し研究を行ったが、研究全体としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、デバイス構造のと高性能化を含めたプロセス開発を行ったので、今後は更なる高性能化を達成するために高精細印刷装置への移行を行い集積回路への応用を行う。また微細化時の電極半導体界面現象の解明を行う予定である。
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