研究課題
報告者は、これまでに、無道管被子植物のあて材について調査を進めてきた。さらに、木本裸子植物であるにもかかわらず、形成する二次木部が木本被子植物の特徴を有する、グネモンノキのあて材についても調査を進めてきた。本年度は、再現性を得るために、新たに採取したグネモンノキあて材における組織学的、化学的特徴について調査した。実験の結果、本年度調査したグネモンノキと、前年度に調査したグネモンノキにおいて形成されたあて材の特徴は一致した。従って、本研究の結果は、グネモンノキにおける細胞の機能分化やそのリグニン構成単位割合の違いが、結果として形成されたあて材のタイプと関係し得るという、昨年度に得られた結果を支持している。さらに、本年度は、内部形態以外の要因として、樹木のサイズに着目し、51種の温帯産および熱帯産木本被子植物のあて材と樹木のサイズとの関係性について調査した。実験に用いた温帯産木本被子植物は、日本国内より採取した。一方、熱帯産木本被子植物は、インドネシア国内より採取した。採種した温帯産木本被子植物のうち、高木類は7種、中高木類は7種、低木類は9種であり、熱帯産木本被子植物では、それぞれ15種、9種および4種であった。実験の結果、広葉樹あて材の特徴である、G層の形成は、温帯産木本被子植物では、高木類、中高木類および低木類で、それぞれ4種、1種および2種観察された。一方、熱帯産木本被子植物では、G層の形成は、高木類、中高木類および低木類で、それぞれ5種、1種および1種観察された。本研究の結果は、高木類で形成されるあて材は、G層を形成する傾向にあることを示唆している。本研究により得られた結果のうち、温帯産木本被子植物については、Journal of Wood Scienceに論文を投稿し、既に公表されている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Journal of Wood Science
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