2017年度は、本研究課題の最終年度として、1,2年目に収集したデータを包括的に分析することを主眼とした。そこで中心的位置を占めたのは、①収集データの学術媒体への発表、②研究会開催を通じた考察理論及び枠組みの検討である。以下、①②それぞれについての具体的成果を述べる。 ①研究成果の学術媒体での発表 学術論文としての投稿(情報文化学会『情報文化論』、お茶の水女子大学ジェンダー研究所『ジェンダー研究』)のほか、アジ研で委員を務めた研究会を利用し、書籍、公開講演会、ウェブレポートといった多彩な形での成果発表に努めた。また本年度は、昨年のフランスに続き、韓国での研究発表を行い、韓国での文化人類学者や中東ジェンダー研究者とのネットワーク形成を行った。 ②研究会実施を通じた研究枠組みの検討、洗練 本年度はまた、研究成果発表とも絡んで、1年次2年次に収集した個別のデータの考察枠組みの検討に力をいれた。その際に積極的に行ったのが、研究会開催と、諸研究会への参加・報告である。それらを通じて、中東のインターナショナルスクールにおける相互行為に着目したジェンダー関係の形成を主たるテーマとしながら、実際に参与観察からえたデータを、社会階層、ジェンダー、使用言語、地理的移動といった、セクショナリティを超えた、多元的な格差軸を横断するテーマとして考察することを意識しつつ論文執筆準備を進めた。『情報文化論』と『ジェンダー研究』に投稿した論文では、相互行為としてのミクロな現象の考察の枠組みの試論執筆を試みた。
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