研究課題
本課題の1つ目の目的は分子間相互作用による電子波動関数の空間分布の変調の観測である。そのためには対象試料の吸着構造を明らかにしたうえで最適な条件で角度分解紫外光電子分光法(ARUPS)を適用することが必須である。そのため、4月から7月の約3か月間、ARUPSによる電子波動関数の空間分布の実測実験で多くの成果を上げているビュルツブルク大学のAcim Schoell博士の研究室と低速電子線回折法による有機単層膜の詳細な吸着構造決定法を確立したイエナ大学のTorsten Fritz教授の研究室を訪問し打ち合わせを行った。それをもとに、前期にドイツの放射光施設BESSYIIで、後期に分子科学研究所内放射光施設UVSOR BL5UにてAg(111)上のPFP単層膜の波動関数空間分布の実測を試みた。これらの成果は、10月に愛知県岡崎市で開催されたUVSORシンポジウム2016にてポスター発表した。また、本プロジェクトのもう一つの目的である分子間相互作用による電子状態のエネルギー空間での変調の原因を、”フェルミ準位近傍の状態密度分布変化に誘起されたフェルミ準位シフト現象”だと考えそれを証明するための実験をUVSOR BL7Uで行った。その結果、フェルミ準位近傍の非常にわずかな状態密度変化の実測に成功し仮説の証明に成功した。この結果は、11月に愛知県で開催されたThe 76th Okazaki Conference Advanced Spectroscopy of Organic Materials for Electronic Applications(ASOMEA8)にてポスター発表を行った。今年度は1本の共著論文がアクセプト(B. Reisz, et al., J. Mat. Research, in press)となり、共著を含め、国内、国外合わせて計16件の学会発表を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 7件)
Journal of Materials Research
巻: - ページ: -
https://doi.org/10.1557/jmr.2017.99
UVSOR Activity report2015
巻: 127 ページ: -